3月に出張したときに飛行機の中で『象の背中』という映画を観た。末期肺癌で余命半年と宣告された50手前のサラリーマンが、その半年をどう過ごしていくかがテーマである。彼の場合は、人生の中の「ひっかかり」、つまりもう一度会って仲直りしたい喧嘩別れした友達や、想いを告げられなかった初恋の人、ひどい捨て方をしたかつての恋人などに逢い、その時告げられなかった想いを遺書として告げていく。

死を意識すると、猛烈に過去を振り返ってしまう。いろいろな反省をする。曖昧にしてきたことにケリをつけようとする。私が真っ先に想ったのは、若い頃に散々に世話になりながら、忙しさにかまけ不義理をしている先輩や友人達。お世話になった人が多すぎて、お礼を言うまでは死ねないと思う。リタイヤしている方々も多いが、皆さん現役の邪魔になるからと、先方からは連絡されてこない。そのような方々に少しずつ連絡を取り、懐かしい人たちに逢っている。

一昨夜も数年ぶりに昔の仕事仲間に逢ったが、会うと同時にタイムスリップして、感謝するどころか昔のように毒舌に。『死の四重奏』を患っている先輩を捕まえてダメおやじ、メタボおやじ呼ばわり。(昔はお兄様と呼んでいたのに、そこだけタイムスリップせず「オヤジ」と置き換える。)いや、だってその通りだもんねぇ。でもありがとうございました。一緒に仕事ができて、楽しかったでーす。