前回の記事『書いてはいけない』森永卓郎では日航123便墜落事故の件をメインに書いたが、森永氏が日本経済低迷の主犯と考えているのは財務省のようだ。
本書のタイトルにあるとおり、「墜落」したのは日航ジャンボ機だけではなく「日本経済」もなのだ。

財務省の言い分はウソばかりだそうだ。
「日本は世界最大の借金を抱え、財政破綻が国民生活の破綻をもたらす」と恐怖心を煽り、増税や社会保険の負担増を正当化する。
しかし、国は負債と同時に資産も保有している。政府は日銀に国債を借り替えてもらえば借金はゼロになる。
政府は日銀に国債を借り換え続けてもらえば、元本を返す必要はないし、支払う利子もわずかの経費を除けば、ほぼ全額が国庫納付金として戻ってくる。
にもかかわらず、財務省は「財政赤字を拡大したら、国債が暴落し、為替が暴落し、ハイパーインフレが国民を襲う」と国民を脅迫する。

財務省が「経済を拡大して税収を増やす」という方策を採らず、増税や負担増だけを目指すのは財務省内での人事評価に原因があるようだ。
財務省内での人事評価は増税を「勝ち」といい、減税を「負け」というそうだ。勝ち組の官僚には出世と豪華な天下り先が用意されているようだ。
一方、財政出動によって経済が成長し、税収が増えても財務官僚には何のポイントもないらしい。それでは財務官僚が増税に走るわけだ。

財務省は直ちにこの頓珍漢な人事評価の基準を改めてほしいものだ。
減税して景気が良くなり、税収が増えれば財務省にとっても喜ばしいことではないのか。
もし、減税が実現したなら、ノーパンしゃぶしゃぶに行っても批判されない…、かもしれない。
しかし、この財務省の不適切な人事評価が今後も続くなら、「失われた〇〇年」は10年から30年40年と続いていくかもしれない。

財務省は信者を増やすための布教活動にも熱心なようだ。
政策決定の権限を持つ閣僚や政権幹部に対して猛烈な「ご説明」と称する布教活動を行うそうだ。
同様にメディアに対しても細かく丁寧な「ご説明」布教活動をする。メディアが「財政悪化を食い止めるには増税しかない」と繰り返すので。多くの国民は騙されてしまう。
一方で、財政緊縮を批判する論調のメディアには容赦なく「税務調査」という逆襲があるそうだ。

この「税務調査」というものはとんでもなく恐ろしいもののようだ。
マスコミが財務省の政策批判や不祥事報道に踏み込んだ後には、必ず「税務調査」が入るそうだ。
日本の税制では、何を経費として認定するかは、国税調査官の裁量に任されている部分が大きい。なので追徴課税や重加算税など国税庁の気分次第、やりたい放題らしい。その衝撃は個人の生活を破綻させるほど、会社を倒産させるほど凄まじいものらしい。

森友学園国有地払い下げ事件における公文書改ざんについて、改ざんを指示した財務省理財局長は起訴されず、軽い行政処分で済まされた。
財務省は、司法・立法の上位に君臨しているらしい。

安倍元総理は言う。「予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから」(安倍晋三回顧録より)。


日本経済墜落のもう一人の犯人は米国ではないかと森永氏は言う。
日航123便墜落事故以降、日本経済の「潮目」が大きく変わったからだという。

事故発生のわずか41日後、「プラザ合意」と呼ばれる決定がなされ、各国の為替介入により急激な円高がもたらされた。日本経済は深刻な円高不況に陥った。その有様を森永氏は「集団リンチ事件」と呼んでいる。

事故の翌年には日米半導体協定が締結された。
米国は日本に対し、海外の半導体メーカーに市場を開放しろとか、日本の半導体の価格は米国に決めさせろとか、日本市場での海外製品のシェアを広げろとか。米国の数々の無理難題を何でもかんでも受け入れてしまった。

その理由を森永氏は、日航機墜落事故の原因をボーイング社にかぶってもらった負い目からではないかという。事故原因を隠蔽し続ける日本政府は米国に「ウソをばらすぞ」と脅されれば、米国の言うなりにならなければならないからだろうという。

日本は先の敗戦後まだ完全に主権を回復していないようだ。