しいちゃんが好きなものがわからない。

 

 夕御飯の買い出しに、いつも子ども達が好きなものを考える。

大人が食べたいもの、俺が食べたいものを作ったところで、子ども達は食べられない事が多いから。でもたまにはしいちゃんの食べたいものを作ってあげたい。

 

 そう思ってしいちゃんの好きなものを考えるんだけど、何が好きかよくわからない。

 パスタ料理をよく作る。和食よりも洋食を食べている印象がある。それはしいちゃんが育った環境がそうだったから。チャンバァが洋食好きだったから。作れるから。

 

 昔、しいちゃんは食事が苦行だったと言ったね。幼少の頃、体の発達が遅れて同学年の子ども達よりもずっと小さな体を、きちんと食事を取らせていないんじゃないかと世間に思われる事を嫌ったチャンバァに無理やり食べさせられて、偏食もひどくて、食べたくなくて、でも食べなければ怒られる。そんな環境で食べたものを、昔から食べているものだから好きだろうとは思えない。

 

 その上、しいちゃんはあらゆることにおいて、『自分』を後回しにしてしまう。

 

 自分を否定され続けて育ったからだろうか、君は自分のしたい事よりも、食べたい事よりも、『しなければいけない家事や雑事』を優先してしまう。

 

 しいちゃんが「おいしい」と言って微笑むところや、自分にしか出来ない仕事を目を輝かせながらしているところを見たいのに、「自分にはそんな資格ない」と言って自ら遠ざけてしまう。

 

 愛している人には、幸せになってもらいたいんだよ?

 

 

 

 根深く残り続けるアダルトチルドレンと、自己否定の二次障害。

 どうしたら取り除けるんだろう…?