というわけで、今回は専門的な話です。
動脈解離、静脈解離はシャントを専門的に治療されている方であれば見たことがあると思います。
ここでは、人工血管の内腔で認められた血管解離についてお話しします。

この画像は、人工血管のPTA中に突然血流が低下した時の画像です。
血栓吸引しても血栓は認められず、人工血管内腔の解離が疑われました。
手術でフォガティカテーテルによる血栓除去(というより内膜剥離)を行うとこんなものが摘出されました。

器質化した壁在血栓・・・ではなく、人工血管内に形成された内膜でしょう。
これは正常な現象で、どの人工血管、特にPTFEやグラシルには良く認めることができます。
ですが、時に内腔が狭窄するくらい発達したり、穿刺(シースとかですね)をした際に解離してしまうことがあります。
対処法としては、まずヘパリン化して新たな血栓形成を防ぎ、バルーンなどで低圧で内側からあてて、血流をながしつつ解離した壁がくっつくのを待つか、外科的に内膜形成するほかないと思います。

こんな感じで真腔が存在していたのでしょうね。
人工血管閉塞に対して手術での血栓除去をしていた方にはおなじみかもしれませんが、血栓除去の主役がPTAに移行してきている最近のPTA術者のかたは、あまり見たことがないのではないでしょうか。
盲点になっているかもしれないので、今回紹介してみました。
**もちろん外科的血栓除去単独では、狭窄部の治療ができていないのですぐ再発します。**