シャントって何?なに? その⑨ シャントの本当#4 | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

ここからは少し質問形式でシャントの本当に迫っていきましょう。



Q.手の先に向かう血液をとってしまって大丈夫なの?

A.手の先に向かう血液すべてを空回りさせているわけではありません。また、親指側の他に小指側からも血液が向かっていますので大概は大丈夫です。

ただし、
動脈硬化が進んでいる方、シャントが大きすぎるかたでは、
盗血症候群
になってしまうことがあります。

盗血症候群:スティール症候群についてはこちらからどうぞ


Q.静脈を縛って切り離しても大丈夫なのですか?

A.静脈はネットワークが発達しているので、他の経路から心臓へ戻っていけます。大丈夫です。でも少しでも他の静脈を温存しておき、影響がないような手術を心がけています。


Q.静脈ってシャントになるとなぜふくらむのですか?

A.動脈は、もともと血液が多く流れることを想定して作られた管ですので、壁が3層になっています。
厚くしなやかな壁であり、血液が多く通っても弾力を持って吸収します。
静脈の壁はそうではありません。血液がゆっくり流れていることを前提に作られた壁ですので、一層構造です。そのかわり、風船に空気を入れるとふくらむように、ある程度のところまでは血管が膨らんでいきます。

ただし、やはり血液がたくさん流れる用に作られた土管ではないので、ふくらんだあとに逆に血管がせまくなって来ることがあります。原因ははっきりしていませんが、これは静脈という血管の限界、運命なのでしょう。狭くなっても風船でふくらませるとまた良くなることがあります。PTAというやつです。いつかまとめます。


Q.もう高速道路の例えはしないのですか?

A.これからが本番です。


よくある質問はこういったところでしょうか。

皆さん遠慮なく聞いてくださいね。