
吻合部で聴診してみると、シャント音がしっかりあります。
おそらく、
シャント音もしていて、穿刺できているシャントだから使って問題ない
と判断したのでしょう
でも…

この写真のように、手背へ逆流している血管を触ってみると、手のひらで血管が拍動しています。
シャント血流は手背へ逆流していることがわかります。
この逆流している血管を押さえてもう一度シャント音を聴取してみると…

今度はシャント音が消失しています
つまり聴診されたシャント音は、すべて逆流しているシャント血流の音であったことがわかります。
シャント聴診の基本でもお話ししましたが、シャント聴診は非常に難しいテクニックであると思います。
血流がありさえすれば、シャント音は聞こえる
逆流していてもシャント音はする
狭くてもシャント音はする
シャント音は判断の補助であって、シャントの診断の基本は触診、視診であり、どのように血流が流れているか、どこが狭いかを客観的に判断することが重要なのです。
この患者様は、今の逆流シャントを閉鎖し、肘付近にて新しくシャントを作成してすっきりと改善しました。
皆さんも、シャント音にはとらわれすぎず、症状と血流に目を配ってみてくださいね。