シャント肢の腫脹…静脈高血圧④ | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

それでは治療法に入ります。

①出口の狭窄部を解消する
これはPTAがメインの治療です。


さて、こちらは別の患者様ですが、同じように右手の腫れが強くありました。

$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-中心狭窄イラスト

こちらも心臓に入っていく直前の血管に高度の狭窄がありますね。

CTで見ると
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-狭窄CT

となっています。

ここをPTAでのバルーンで広げてみます。
ちなみにシャント血管の拡張では、狭窄の度合いが強かったりすると、バルーンで広げたときに
血管が破けます
ちなみに、血管がパーフォった、などと言います(パーフォレイション、破裂の意味)
ちなみに皮下血腫ができてしまった場合、ヘマった(ヘマトーマ、血腫の意味)とも言います。


シャントは表在血管ですので、例えパーフォったとしても、対処法はいくつもあり、余程のことがない限りは大きなトラブルになりません。
しかし、今回のような中心静脈狭窄の場合、破裂してコントロールできなくなった場合には緊急手術(開胸、全身麻酔)となってしまうので、決して無理はしません。
ですので、拡張するときは慎重に慎重に…

えいっ
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-中心バルーン

ヒヤヒヤです
(^▽^;)

無理して全開で広げませんでした。

それでも
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-中心PTA後

結構広がります。

上肢の腫脹もかなり改善します。

破裂さえしなければ、まずまず安全な方法と言えます。

ただしこの方法、重大な注意点があります。
それは、数カ月で再発(再狭窄)してしまう

ことです。
もともといろいろな原因があって狭くなったところを、無理に押し広げる治療です。
場所によっては、狭くなる癖が付いているところもありますし、
血管が限界なこともあります。
とくに、このような中心静脈(心臓に近い太い血管:首都高とかのイメージ)の狭窄は、再発しやすいです。
数ヶ月おきにPTAを繰り返す必要があります。

もっとも、これはすべてのアクセスにも言えることかもしれません。

それでも、切ったり貼ったりしないこと、現在あるアクセスを活用できることから、いい治療法のひとつと言えるでしょう。