シャントにできたコブ シャント瘤について④ | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

では手術の戦略について説明します。

目的は
①シャントのコブを取る
②シャントを使えるようにする

①に関して、取るだけであればいかようにもやり方はあります。ただ、②あくまでシャントとして使用できなければいけません。

すでに破裂している、皮膚が壊死している、などの緊急事態であればできることはどんどん限られ、安全第一にならざるを得ない状況になります。
まだ余裕がありますので、じっくり考えたところ、

今のシャントを潰してからコブを取るほうが安全
幸い、すぐ上で作り直せることができ、血管の無駄遣いをせずに済みそう

と判断しました。まとめるとこのようになります。
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-瘤CTイラスト
イラストの数字と合わせてみてください。
①コブの入り口と出口を確保し、コブから出血しないようにする
(シャントの閉鎖)
②息の根を止めたコブを安全に取り出す
③コブをとったところはシャントとして使用しにくいので、新たに中枢よりでシャントを作成する


実際の手術で、コブを出したところです。
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~



血液が充満しているので大きく見えます。ふたコブですね。

とってしまうとフニャフニャになってしまいます。
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-瘤標本


手術翌日の出来上がりの状態です。

$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-瘤術後
上の皮膚切開は新しくシャントを作成したとこと、下の皮膚切開はシャントのコブをとったところです。
これで、穿刺部位はこれまでどおり、手術翌日から透析が可能で、すぐにご退院いただけました。

今回は局所麻酔で行いましたが、コブの大きさや性状、破裂の危険性などを考えて全身麻酔などを行うこともあります。

以上 シャント瘤の治療でした。手術の写真がうけつけなかった方はごめんなさい。