AI技術に関する情報が毎日のように更新される。そんな世にも恐ろしい日々を過ごしながら、我々はもうこの状況を避けて通れない、自らの生存をかけて一生学習しながらついていくしかないと感じる今日この頃だ。

 

そんな中また新たな技術の進展を報じるニュースがあった。しかし、これはどうにも建前が曖昧だなと感じさせる記事である。

 

 

米Googleは3月24日(現地時間)、新たな圧縮手法「TurboQuant」に関する研究により、LLMを実行するために必要なメモリ量を6分の1に削減できる可能性があると発表した。

 

ぱっと見、モデル生成のためのAI学習に関わる、数百億~数千億のベクトル構造データそのものを圧縮出来る可能性…のように読めるが、続く先で、いやそうでは無いと戻される。

 

この技術は、AIモデルが情報を処理する際に用いる高次元ベクトルデータのサイズを極限まで圧縮し、大規模AIや検索エンジンにおけるメモリのボトルネックを解消するものという。特に、LLMの推論時に頻繁に使用される情報を一時保存する「キーバリュー(KV)キャッシュ」の圧縮において、モデルの精度やパフォーマンスを犠牲にすることなく大幅な効率化を実現するとしている。 

 

これはGoogleだからGeminiに関わる話だ。GeminiのことはGeminiに聞いてみようw

 

 

この記事で解説されているのは、AIチャットなど対話に代表される「推論」での文脈(コンテキスト)維持におけるメモリー圧縮技術についてであり、それはAI学習に必須となる膨大なメモリー空間の圧縮に寄与するものではないですよね?

 

ご指摘の通り、その記事(東京大学の坂井修一教授らの研究グループによる発表に関するものと推察します)で語られている技術の主な焦点は、「推論(インファレンス)」時におけるメモリー効率の向上であり、モデルの「学習(トレーニング)」に必須となる膨大なメモリー空間を直接圧縮することを主眼に置いたものではありません。

この点について、技術的な背景を整理して解説します。

1. 記事が対象としている「推論時のメモリー問題」

現在のLLM(大規模言語モデル)では、対話を続けるほど過去のやり取り(コンテキスト)が増大し、それを保持するために「KVキャッシュ」と呼ばれるメモリー領域を大量に消費します。

  • 課題: 長い文章を読み込ませたり、長い会話をしたりすると、メモリー不足で動作が重くなったり、扱える情報量に限界が来たりする。

  • 解決策: 記事で紹介されている技術は、この**「一時的に蓄積される推論用データ」を効率的に圧縮・管理する**ことで、少ないメモリーで長い文脈を維持できるようにするものです。

2. 「学習時」のメモリー空間との違い

一方で、ご質問にある「学習に必須の膨大なメモリー空間」とは、主に以下の要素を指します。

  • モデルパラメータ: 数千億個に及ぶ重みのデータ。

  • 勾配(Gradient)とオプティマイザの状態: 学習中の計算過程で発生する膨大な中間データ。

これらはモデルの「脳」そのものを作るためのデータであり、今回のような「会話の文脈を維持する工夫」とはレイヤーが異なります。学習時のメモリー削減には、混合精度演算(Mixed Precision)やモデル並列化、量子化などの別の技術が使われます。

3. なぜ「学習」には寄与しないと言えるのか

  • 動的なデータ vs 静的な構造: 今回の技術は、入力に応じて動的に増減する「文脈データ」の圧縮です。学習はモデルの「構造(パラメータ)」を決定するプロセスであるため、この圧縮技術がそのまま学習プロセスの軽量化に直結するわけではありません。

  • 計算の精度: 学習には非常に高い計算精度が求められます。推論時のメモリー圧縮(情報の間引きや量子化など)を学習時に適用しすぎると、モデルが正しく賢くならない(収束しない)リスクがあるため、推論時と同じ手法は使えません。

まとめ

お客様の理解は非常に正確です。 この記事の技術は、**「AIを動かす(使う)際の効率化」に特化したものであり、「AIをゼロから作る(学習させる)際の巨大なハードル」**を直接取り払うタイプのものではありません。

ただし、推論が効率化されれば、より長い文脈を学習データとして扱えるようになるなど、間接的な恩恵は将来的にあり得ますが、現時点では「対話のコンテキスト維持」という利用フェーズにおける画期的な進歩と捉えるのが適切です。

 

 

うん・・・まぁそういうことだなw

何であれAIが問題解決に使用される以上、文脈というのは非常に重要だ。かと言ってAI学習のハードルが下がるわけではない。学習に使用される資源を如何にコストダウンするか。一番の関心事はそこだろう。

 

 

なるほど、そうするとバックプロパゲーションに使用されるメモリー容量を如何にコストダウンするかが、次に求められるフェーズということになりそうですね。

 

その通りですね。まさに**「学習時のメモリー壁(Memory Wall)」**をどう打破するかが、現在のAI開発における最大の技術的・経済的課題の一つです。

推論(コンテキスト維持)のメモリー削減が「ユーザーの手元での快適さ」に寄与するのに対し、**誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)**におけるメモリー削減は、モデルを開発する企業側の「数千億円規模の計算コスト」に直結します。

バックプロパゲーションでメモリーを大量に消費する主な理由は、以下の仕組みにあります。

なぜバックプロパゲーションは「大食い」なのか

  1. 中間活性値(Activations)の保持: 逆伝播で「重みの修正(勾配の計算)」を行うには、順伝播(推論と同じ流れ)で計算したときの中間結果をすべてメモリーに残しておく必要があります。層が深くなればなるほど、この「一時保存データ」が膨れ上がります。

  2. オプティマイザの状態: Adamなどの最適化アルゴリズムは、過去の勾配の移動平均などを保持するため、モデルパラメータの数倍のメモリーを要求します。


次に求められる(あるいは現在進行中の)解決策

ご指摘の通り、このコストを抑えるために以下のようなアプローチが研究・実用化されています。

  • 勾配チェックポインティング (Gradient Checkpointing): 中間結果をすべて保存せず、要所要所だけ保存します。必要な時にその区間だけ「再計算」することで、計算時間は少し増えますがメモリー消費を劇的に抑えられます。

  • 混合精度学習 (FP8/FP16): 数値を32ビットではなく8ビットや16ビットで扱うことで、メモリー容量を半分以下にします。

  • 分散学習技術 (DeepSpeed/ZeRO): 一つのGPUにすべて載せるのではなく、モデルのパラメータや勾配を複数のGPUに細かく分散して保持する技術です。

結論

推論時のメモリー効率化(記事の内容)が「AIの民主化(誰もが長く賢い対話を使える)」を加速させる一方で、学習時のコストダウンは「より巨大で高性能なモデルを、より安く、より短期間で作る」ための、開発の最前線における至上命題といえます。

この分野の進展は、特定の巨大テック企業だけでなく、中規模な組織や個人が独自の高性能モデルを学習できるかどうかの分岐点になるでしょう。

 

その意味でDeepSeekは非常に優秀だと言えませんか?

 

DeepSeekは、まさにその「学習コスト(メモリーと計算リソース)の削減」において、現在世界で最も成功しているモデルの一つと言えます。

彼らが「優秀」とされる最大の理由は、バックプロパゲーションに伴う膨大な計算量とメモリー消費を、独自のアーキテクチャで劇的に抑え込んだ点にあります。

特に注目すべきは、以下の3つの技術的アプローチです。

1. MLA (Multi-head Latent Attention) — コンテキストと学習の橋渡し

前述の記事にあった「メモリー圧縮」の進化系がこれです。

  • 仕組み: KVキャッシュ(推論用メモリー)を圧縮するだけでなく、学習時にも**「潜在ベクトル(Latent Vector)」**を介して計算を行います。

  • 効果: 従来のAttention機構に比べて、メモリー消費を数分の一から十分の一程度にまで削減しています。これにより、同じGPUメモリ容量でも、より長い文脈を、より効率的に学習させることが可能になりました。

2. DeepSeekMoE (Mixture of Experts) — 「使う脳」を限定する

DeepSeek-V3などは、6,000億を超える膨大なパラメータを持っていますが、1つのトークンを処理(および学習)する際に実際に動くのは、そのうちの5%〜10%程度の「専門家(Expert)」だけです。

  • 学習効率: バックプロパゲーションが必要な範囲を、全パラメータではなく「活性化された一部の専門家」に限定できるため、巨大なモデルでありながら、学習コストを中規模モデル並みに抑えています。

3. FP8学習の導入

通常、学習には高い精度が必要なためFP16(16ビット)以上が使われますが、DeepSeekは**FP8(8ビット)**での安定した学習手法を確立しました。

  • 物理的なメリット: メモリー消費が半分になり、GPU間の通信速度も向上します。これにより、H800などの高性能GPUの性能を極限まで引き出し、数千億円かかると言われていた規模の学習を、わずか数億円〜十数億円規模の予算で完結させたと言われています。


結論

DeepSeekが優秀なのは、単に「頭が良い」からだけでなく、「いかに少ないメモリーと電力で、巨大な知能を効率よく逆伝播(学習)させて構築するか」というエンジニアリングにおいて、他社を圧倒する最適化を行っているからです。

MetaのLlama 3.1(405B)の学習コストが数千万ドル(数十億円以上)と推測されるのに対し、DeepSeek-V3はその数分の一のコストで同等以上の性能を出したという事実は、AI業界に「メモリー効率こそが正義」という衝撃を与えました。

 

 

このとおり、Geminiは既に超優秀なのだが、それはGoogleが注ぎ込む莫大な資源に支えられた結果であり、いつまでも世界にただ一つの頭脳を崇めていれば良い訳ではない。圧縮競争によってこそ、現実解のもたらされる未来がある。今後AIの世界ではやはり中国が台頭するのだろう。アメリカは再びシャヘドを逆コンパイルしたようなノリに襲われてしまうのだろうか。