昨夜、ふとPT-3の録画済みリストをチェックしたら、「ある日、下北沢で」というタイトルが載っていた。
あれ、何の番組かな?と思いながら再生すると、聞き覚えのある声のナレーションとともに、これまた体に染み付くほどに見慣れた下北沢の風景が目に飛び込んで来た。
「愛理!?」と思わず声に出し、そのまま見入る。キーワードで勝手に番組録画するシステムの恩恵を存分に受けている「あいりまにあ」の俺がここに居たw
なんと、愛理が「愛理」という役名で、この単発ドラマの主演をしている。
シンガー鈴木愛理は活躍の場を広げて、最近はドラマに出ることも多くなったのだが、俺は基本的に愛理のドラマをほとんど見ない。器用な彼女は役どころもサラリとこなし、別に下手なわけでも浮いてるわけでもない、俺が見ない理由は「役づくりされた彼女は愛理じゃないから」ってだけの話だ。
何というか、子供の頃からずっとアイドルで、今もシンガーとしての愛理を俺は推し続けて来たからなのか、ドラマの中で「何かになってる」愛理を見てもあまり魅力を感じなくなっているようなのだ。とにかく鈴木愛理そのものを見ていたいだけ、というw他のタレントに対しては決して抱かない感覚で、自分でもワケわからないが、まぁ特別なのだ。親目線だしなw
ところが今見てる「ある日、下北沢で」には、「愛理」自身が出ている。もちろん台本の存在するお芝居には違い無く、作られたものではあるんだが、見ると愛理そのものが持つ独特の存在感がそのままセリフをしゃべっているように思える。これは、今まで俺が忌避してきた愛理ドラマとは別ものだ。
そして、ドラマを彩る風景は紛れもなく、俺が青春時代のほとんどを過ごしたシモキタの街並みである。大規模な再開発で駅前の景色は大きく様変わりしたが、ドラマ冒頭に出てくる北沢庚申堂の南口商店街、三軒茶屋へと続く茶沢通り、児童公園を抱えた北澤八幡神社など、昔のままの風景は至るところに残っている。そのまったりとした情景の幾つかが切り取られ、その中に、やはりまったりとした愛理の姿が溶け込んでいた。
シモキタの空気感がよく出ているな、と率直に思った。街の構造としては様々な種類の商店が密集したゴチャゴチャな場所である割に、何故か「忙しなさ」のかけらも無く、ハッキリ言ってオシャレな訳でもない。オシャレな人たちも来るけれども、そうでない人も普通に居るんだよな。しかも「ゆったり」「まったり」と、当然のようにそこに居るんだ。一言で言うと、
「いや、別にそんなこと、どうでもいいですから!」
みたいな空気感があるw 誰もが好き勝手にそこに居られる街、それがシモキタなんじゃないかなと思う。
そういう意味では、ドラマは愛理のふわふわした存在感と絶妙にマッチしていて、まったく何も違和感なく最後まで見てしまった。俺としたことが愛理のドラマ初完走だw
どうやら愛理以外の出演者も全員多くがミュージシャンだったようで、愛理の役どころもアーティスト志望「だった」人。今はレコード店勤務という音楽寄りの設定で、いかにもなシモキタらしさがあり、その時間経過にはかつてバンド仲間と夜通し飲んで語り合った俺自身の境遇もチラついて見えた。
本当の愛理は、努力に努力を重ねて進化を続け、着実に夢を掴んで行く人だから設定とはちょっと違うが、若い頃の俺がふわふわしながら過ごした日々の情景に、ちょっとだけ愛理が入り込んで来てくれた感じがして、何となく嬉しかった。
それと、一つ大きな収穫もあった。
ドラマは「幻のレコード」が存在するという設定で、それを取り巻く詐欺事件もあったりするのだが、話の最後でついに、(あの)小林克也演じるカフェの親父が昔、自身のバンドで制作したものだと明かし、所有するそのレコードを再生する。
その曲が、実に良かった。サウンドが、おいおい「はっぴいえんど」かよ!ってぐらい、思いっきり昭和の音なのだw
この「ONE DAY」というタイトルの曲、もちろん小林克也のものではなく、実際は刑事役で出演していた西寺郷太というミュージシャンの作だそうだ。恥ずかしながら俺はこの人の存在すら知らなかったが、本当にいい曲だと思った。おそらく作者本人の歌唱と思われるこのレコードの再生は途中で終わってしまうのだが、出来れば最後まで聞きたかった。どこかに落ちてないか、これから探してみるつもりだ。
そして、エンディングでは愛理がこの曲を歌ったのだが、流石の愛理の歌唱だ。今のシモキタのオシャレな雰囲気に満たされてもいるのだが、ちゃんとロックしてるんだな。アナログ・ヴィンテージなサウンドは、昭和とは違うが、古くてもまだ生きているぞという感じで、要するに「まるで古着屋」なイメージ。
そういう着地か~って思わせるような、「音楽」での落としどころを見た気がする。そう、シモキタってそういう雰囲気なんだよ。
そして、ドラマでの愛理の最後のセリフがまたいい。
「やっぱシモキタって、バッタリ会うよね~」
なんでか判らんが、本当にシモキタ歩いてると知った顔にバッタリと出会う。異常に会うんだよなこれがw 狭いからかな?人の導線が同じなのかな?
