こんな感じの言説に、ちょいちょい惑わされるのが世の中の常だったりするんだが。

 

 

米国のバイデン大統領は26日の記者会見で、ハマスが同日解放した人質の中に米国籍を持つ女児(4)が含まれていたと明らかにした。バイデン氏は「彼女が耐えた試練は想像を絶する」といたわった。 

 

耐えた試練=「想像を絶するもの」という認定を受ける権利を有するのは、別に米国籍を持つ者に限られた訳ではない。

 

女児はアビゲイル・エダンちゃん。ガザに近いイスラエルのキブツ(農業共同体)で暮らしていたが、10月7日にハマスの襲撃を受け、目の前で両親が殺害された。助けを求めた近所の家族とともに拉致され、約50日にわたって人質となった。 

 

この話を聞けば彼女の苦難が想像を絶するものであることに疑いの余地は無い。しかし、現状における最大の懸念は「想像を絶する」ことではなく、「想像を失する」ことである。

 

同じ境遇に陥っている多くの子供が「ガザに居て」「米国籍を持たない」ケースを、果たして想像してみようという意志があるのだろうか?

 

想像してみて絶するのなら、まだいいだろう。想像する前に失しているんじゃ、お話しにならないよ。