良くも悪くもこれぞ民主主義という光景である。

 

 

マクロン政権が今年9月から実施を目指す年金制度の改革法案は現在、フランスの議会上院で審議が行われていますが、最新の世論調査でも65%が政府の改革案に反対と回答しています。

 

フランス人には、かのルイ王朝を自らの手で打ち破ったという自負がある。お武家様だろうがお公家様だろうが、そこに権力があればひれ伏すのが伝統的美学の我々日本人には到底真似の出来ない動きだ。

 

我々は、じわじわと中国化を進めつつ米国にはしっぽを振る自民党を無自覚に推す意識や、お座なりに掲げられた神輿でしかない皇室という権威に思考停止する現状をどこかで打破しない限り、決して自らの手で掴み取った訳でもない「なんちゃって」な民主主義から永遠に離脱出来ないだろう。

 

いみじくも16世紀のフランスでエティエンヌ・ド・ラ・ボエシの喝破した「自発的隷従」を地で行くような現状である。無論、ジャン・ジャック・ルソーの18世紀「社会契約」の域にまで達したかどうかの自覚すら我々には乏しい。悲しいかな、与えられた民主主義の儚さは、この国にまともな思想教育が存在しない現(うつつ)とも等価なのである。