俺はワールドカップにはほとんど興味が無い。
サッカーそのものについては、部活ではないが学生時代に仲間と一緒にプレーして楽しんだことはある。ルールもちゃんと知っているし、試合の組み立てについても全くの無知という訳でも無い。
ただ、人がプレーしているのをずっと見続けるのは正直ダル過ぎるのだ。
何しろ時間が長い。前後合わせて90分。ハーフタイムが有るとは言え、一瞬の動きでゴールが決まるスポーツなだけに試合中は視線を逸らすことも出来ないし、ましてや人と一緒にワイワイ楽しむなんてあり得ず、ひたすら真剣にゴールの瞬間を見逃すまいと身構え続けるしかない。
そんな大袈裟なと思うかもしれないが、俺はどんなスポーツ観戦でもしっかり入り込む性質(たち)なので、サッカー観戦で強いられるこの苦行があまりに負担すぎてすっかりイヤになってしまったのだ。
周りを見渡せばサッカー観戦を苦行などと言う人はむしろ少なく、ワールドカップともなれば皆で大いに盛り上がっているようなのだが、俺が見る限り、試合そのものを楽しんでいるのは一部のコアなサッカーファンだけで、その他の大部分を占める人々は単に「盛り上がりたいから盛り上がっているだけ」のように感じる。4年に一度のワールドカップは、お祭り好きにとってはこの上もなく楽しめる貴重な機会なのだろう。
要するにパリピなんじゃないの?
というのが俺の感想だ。日本に限らず、どうもサッカーの興行には世界規模でその傾向があるように思える。普段はサッカーのサの字も、ピッチのピの字も言葉として発しないクセに、いざワールドカップとなると「昨日の試合見た?」とかしつこく聞いて来るヤツが嘘みたいに増殖する。
見てねぇよ、とかイチイチ答えなきゃならんのも本当にウザいものだ。
「え?なんで?」「仕事?」「最高だったのに!」なんて余計に面倒な問いかけを引き出してしまう。
だが、そうやって言って来るヤツに限って、勝ったときには異常に興奮して褒めたたえるが、負けたとなると一転ケチョンケチョンに文句を言うんだ。
それ、サッカーなんて本当は好きじゃない証拠だよな?
ただ世間に乗せられてるだけだよな?
俺は、スポーツをまともに見る気の無いヤツらとはスポーツの話をしたくない。特に国際試合が絡んだ時は尚更だ。アホみたいなナショナリストと、浮かれたパーリーピーポーばかりがゴマンと湧いて出て来るんだから、仕方無いだろう?
20年以上前だが、ワールドカップ帰りの城彰二が空港で水をかけられた事件が忘れられない。浮かれたヤツらは正常な判断能力さえも失う。意味の無いお祭り騒ぎこそがそういうヤツらを蔓延らせる。真面目にサッカーに取り組んでいる人たちに対して、失礼でしかない。