さすがバード羽鳥、見事な念押しだな。

 

 

司会の羽鳥慎一アナウンサは、番組が江川氏を「昭和の怪物」と紹介したことに「ちょっと違います。“昭和の”いらないんです。怪物なんです。江川さんが怪物だから、松坂さんが“平成の怪物”になり、佐々木さんが“令和の怪物”になったんです」と力説した。 

 

まったくその通り。世間にはピッチャーの能力を、時代を超えてその球速だけで比較するような風潮があるが、ピッチャーは球が速いから打たれない訳ではない。打たれない球を投げるから打たれないのだ。その意味では、江川は今でも怪物としてトップに君臨していると言っていい。

 

個人的には、江川の怪物ぶりをもっとも顕著に表す事象は「中継時間」だと思っている。江川が投げた試合は大抵、野球中継が早い時間に終わってしまった。20時半とか、下手すると20時過ぎには試合終了となってしまい、時間を持て余した局側が過去の特集とか関係ない映像を流さなければならなくなるようなことが頻繁に起きた。しかもそのような展開となった試合はほとんど全てが「江川の完投勝利」で終わっていたことも特筆に値するだろう。

 

それだけ江川の投げる球は打たれず、相手の攻撃時間が極端に短かったということだ。

 

江川の投げる球は決して「速くなかった」訳ではないが、現代の速球ピッチャーの誰よりも速かったという訳でもない。繰り返すが、江川は球が速かったから打たれなかったのではなく、打たれないような球を投げたから打たれなかったのだ。

 

俗に言う「8時半の男」の存在すら必要としない、怪物と呼ばれるに相応しい男の所以だ。