行列のかけ算とは何なのかを書きます。

次のように
3つのステップに分けて説明します。

①1×2行列と2×1行列のかけ算(ベクトル×ベクトル)

②2×2行列と2×1行列のかけ算(行列×ベクトル)

③2×2行列と2×2行列のかけ算(行列×行列)

では、まず①から。


①1×2行列と2×1行列のかけ算(ベクトル×ベクトル)
1×2行列とは、

という形の行列のことです。
縦方向に1個、横方向に2個の成分があるから
「1×2行列」宇宙人と呼ばれています。
  宇宙人
  「1 × 2行列」ではなく「1×2 行列」です。念のため。

見た感じベクトルと似てます。
強いて言うとaとbの間にコンマがないのがベクトルとの違いですが、
これは本質的なことでなありません。
「じゃあ、ベクトルと同じなのか?」と言うと、
加法(足し算)、スカラー倍の面ではベクトルと同じであり、
ベクトルとみなすことができます。ペンギン
  ペンギン
  内積はどうなのでしょう?
  実は、内積がどうであれ、加法とスカラー倍ができればベクトルと言います。
  高校では出て来ませんが内積がないベクトルを考えることもできます
  (そのうち記事にします)。

1×2行列は「行ベクトル」と呼ばれることがあります。
行列において、横の並びを「行」と言います。


縦の並び

もあります。
これは「列ベクトル」と呼ばれます。
「列」とは、行列における縦の並びのことです。

○○行列という言い方をすれば、2×1行列です。

行ベクトルは1×2行列、
列ベクトルは2×1行列です。


1×2行列と2×1行列のかけ算は

で定義されます。右辺はベクトルの内積なので、

が成り立ちます。


②2×2行列と2×1行列のかけ算(行列×ベクトル)
2×2行列とは

という形の行列です。
正方形型に成分が並ぶので、2次正方行列とも呼ばれます。

ステップ①をもとに
2×2行列と2×1行列のかけ算を導入しましょう。
アイデアは、2×2行列を上下で2つに分けて、
行ベクトルを作り出すというものです。

という感じです。
右辺は2×1行列であることに注意しましょう。
内積は単なる数ですからね。

2×2行列と2×1行列のかけ算は

で定義されます。


③2×2行列と2×2行列のかけ算(行列×行列)
ステップ②をもとにします。
やはり、行列を分けることでかけ算を導入します。
イメージは

という感じ。
右辺は2×2行列であることに注意しましょう。
内積は数です。

2×2行列と2×2行列のかけ算は

で定義されます。



番外編
ステップ①で
(1×2行列)×(2×1行列)を見ました。

今までやってきた、行列を分ける方法を応用すれば

となります。

では、
(1×2行列)×(1×2行列)はどうでしょう?

となり、
2次元ベクトルと1次元ベクトルの内積が発生してしまいます。
内積は、同じ次元のベクトルの間でしか出来ないので、
(1×2行列)×(1×2行列)は出来ないということになります。

「他の分け方をすれば計算できるんじゃないか」と
思われるかもしれませんが、行列のかけ算では、

 左側の行列は上下に分ける
 右側の行列は左右に分ける


というルールがあるので、これ以外の分け方はできません。
なんでこのルールなのかというと、ステップ①で

というかけ算から始めたからです。

もし、

という定義からスタートすれば、ルールは

 左側の行列は左右に分ける
 右側の行列は上下に分ける

になるでしょう。数学的にはどっちもいいのですが、
混ぜて使うと、答えが一つに決まらなくなってしまうので、

 左側の行列は上下に分ける
 右側の行列は左右に分ける


というルールに統一されているのです。


そういうわけで、行列のかけ算は出来ない場合もあるのですが、
かけ算出来るかどうかは簡単に見分けられます。
一般に

 (j×行列)×(×n行列)は
 のとき出来る
 のとき出来ない

が成り立ちます。

確かに、今回の記事で扱った行列でも、
 (1×行列)×(×1行列)
 (2×行列)×(×1行列)
 (2×行列)×(×2行列)
 (2×行列)×(×2行列)
は出来て、
 (1×行列)×(×2行列)
は出来ませんでした。

(おわり)
センター速報です。

といっても、試験が行われたのは、
もうずいぶん前なので、全然“速”ではないのですが。

むしろ、高校入試の時期ですね。


以前 数ⅠAを解いた感想を書きましたが、
やっと数ⅡBを解きましたので、また感想です。

結果は96点でしたが、
所要時間が、68分で10分弱オーバーしているので
実際の試験だったらもっと低いかと思います。クマノミ
  クマノミ
  満点ペースだったとして8分は100点÷60分×8分=13.3点に
  相当するので、82点くらいでしょうか。

オーバーの原因は、
第一問で何かと引っかかったことと、
第二問の積分のところで計算が合わなくなったことだと
思われます。


散髪屋さんが、今回の数ⅡBは難しかったらしいと
言ってましたが、確かに大問ごとに
 第一問 二段階極座標、有理数次連立方程式
 第二問 微分の定義
 第三問 余りに着目、総積
 第四問 菱形の位置ベクトル
とそれぞれ勉強してなさそうなことが出ていました。
試験会場で初めて見る問題も結構あったりして。

時間があれば、なんとかなりそうですが、
瞬時にこれらの問題を解くのは、
かなり修行が必要であると思います。


その中で、面白かったものの一つとして、
「総積」を取り上げてこの記事を終わります。

「総積」とは聞きなれない言葉ですが、
筆者も聞いたことないですが、要するに
「総」は、ある番号まで全部足し合わせることですが、
「総」は、ある番号まで全部かけ合わせること
のつもりで言っています。

センターの問題(第3問(4))から引用すると、

というやつです。
最後の記号Πは、k=1からk=mまでかけろ!という記号です。
Σのかけ算バージョンです。
Πはギリシャ文字π(パイ)の大文字です。
product(積)のpはギリシャ文字ではπに当たります。

問題中ですでに求めているb_nを代入すると、

となります。最後の等号(=)は、
指数法則を繰り返し適用することで得られます。

たとえば、

みたいな感じです。

「総積の公式」として

が成り立ちます。
ただし、Πの中が「定数の数列乗」という形でないと
このような面白いことフグは起きません。

  フグ
  初めて見ると「面白い」ですが、
  慣れれば単に指数法則を表しているに過ぎないので
  当たり前といえば当たり前です。

(おわり)
行列の基本知識についてまとめました。

<行列の加法(足し算)>


ベクトルの加法とよく似ています。
しかし、ベクトルのように矢印では描けない宇宙人ので、
図形的な意味を見い出せるかはよくわかりません。
  宇宙人
  もしかすると矢印か、矢印に類する何かで描けるかもしれないので
  挑戦して見ると面白いかもしれません。


<行列の減法(引き算)>


これは、加法で「引く行列」の成分を-1倍したものです。

したがって、減法は加法の特殊な場合にすぎません。
わざわざ減法に触れることはせず、
加法にだけ言及して済ますこともあります。


<行列のスカラー倍>
スカラーとは行列の成分に入っている数のことです。ペンギン
  ペンギン
  とりあえず高校数学ではスカラー=実数と思っておいて
  差し支えありません。


ベクトルのスカラー倍にそっくりです。
行列とベクトルは兄弟といえるかもしれません。


行列の成分には普通、実数を入れる(大学では
複素数を入れることもある)のですが、
注意深く扱えば、行列を入れることもできます。
以下の内容は、「基本知識」ではなく“趣味”の話です。

行列を成分に持つ行列のスカラー倍は、
ちょっと仰々しいですが、

となります。
見やすくするため外側の行列を[ ]で書いています。
また、右辺には「行列のかけ算」が現れていますが、
これについては次回の記事で述べます。

当ブログでは、思い切って、こういう場合に
中に入っている行列をスカラーということがあります。
「行列を数として扱いたい」という野望があるので
敢えてこのような言い方をするのです。
しかし、たとえこんな場面であっても、
行列のことをスカラーいうのは標準的でないかもしれません。
飽くまで当ブログの中だけでの用法と思って下さい。

そもそもスカラーとはscalarであり、スケールscaleと
語源が一緒だと思われます。
scaleは尺のことですから、まあ、長さのあるもの、
測るものといった意味でしょう。
そういう意味では、
実数(=数直線=ものさし)こそスカラーにふさわしいのでしょう。

「行列成分の行列」は、「基本知識」ではないので
行列初心者の方や高校の行列だけ勉強したい人は、
忘れていただいて大丈夫です。


次回は<行列の乗法(かけ算)>からです。