バーミヤン大仏の天井壁画を龍谷大学が復元 | 歴史ニュース総合案内

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 タリバンの爆破で砕けたバーミヤン石仏の天井壁画が復元され、京都市の龍谷ミュージアムでの春季特別展「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰――ガンダーラから日本へ」で4月20日から6月16日まで展示されている。2つあった石仏のうち、東大仏は太陽神スーリヤで、西大仏は弥勒(マイトレーヤ)や兜率天が天井を彩っていた。

 タリバンが2001年に偶像崇拝否定の名の下で爆破する前、京都大学などの調査隊が撮影した写真などをもとに、浄土真宗系の龍谷大学が天井壁画を2016年頃から復元する下書きが出来上がったのを記念する特別展。宮治昭名誉教授が監修し、京都市立芸術大学の正垣雅子准教授が絵を描いた。4章構成の展示では、バーミヤンの東大仏と西大仏の世界を紹介した後、マイトレーヤ信仰が東アジアで弥勒信仰となり、龍谷大のような日本の浄土信仰につながっていく模様を描く。

 

 クシャーナ朝で5~6世紀に建てられたバーミヤン大仏は西の大日如来が高さ55mの父(パーダル)、東の釈迦如来が高さ38mの母(マーダル)と称される。玄奘が「大唐西域記」で黄金だったと描くも、その後に摩崖仏の大仏はイスラムの影響で顔を削られていたが、タリバンは胴体全体を破壊した。立体的なギリシア美術の造形がみられるガンダーラ美術の象徴であり、ゾロアスター系のミトラ神の影響もある。

 東京藝術大学も大仏天井壁画の復元に挑み、2021年秋に《青の弥勒》と《天翔ける太陽神》として特別展「みろく」で披露した。アフガン名産のラピスラズリで青く彩られたスーパークローン文化財技術による原寸大の復元と比べると、龍谷の《西大仏龕天井壁画》《東大仏龕天井壁画》は描き起こしの素描である。忠実な復元のため空白部を多く残している訳だが、《青の弥勒》はバーミヤンのE窟の天井画を基にしてつくられた別物である。《天翔ける太陽神》は東大仏の壁画だが。