伐られた「ロビン・フッドの木」 | 歴史ニュース総合案内

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 射手のロビン・フッド伝説にまつわる英国のセイヨウカジカエデの木が9月28日に伐り倒される事件があり、16歳の少年が間もなく逮捕された。樹齢200年程度だが、映画「ロビン・フッド 泥棒の王子」で象徴として使われていた。

 シカモア・ギャップという愛称のこの樹木は、ノーザンバーランド州のハドリアヌス長城沿いにあった。古代ローマ帝国の北端の城壁で19世紀から育ったウッドランド・トラストにより2016年に英国一の樹木に選ばれていた。

 

 何度か映画化されている中世英国のロビン・フッド伝説だが、ハドリアヌス長城でロケされた映画はケヴィン・コスナーを主演にして1991年に公開された(ケヴィン・レイノルズ監督)。十字軍帰りのロビン・フッドがムーア人(ムスリム)のアジームを相棒にして名誉を奪ったノッティンガムの悪代官に復讐する筋書きである。その映画でシャーウッドの森を愛する主役の背景にセイヨウカジカエデが採用されたことで一際有名になった。長城沿いに自転車道などが整備されている。ロビン・フッドは副題の如く民間のアウトローになったり、貴族の血をひく英雄になったりと伝承世界では忙しい。