ジョセフィーヌ妃のナポレオン映画 | 歴史ニュース総合案内

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 英雄ナポレオン・ボナパルトを主役とする米国映画「ナポレオン」が12月1日から公開されている。「グラディエーター」のリドリー・スコット監督が描く英語話者のナポレオンは、ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ妃に滅法弱い闘士だったようだ。

 フランス王党派とのトゥーロン港の戦いからアウステルリッツの三帝会戦を経て、冬戦争から最終敗北するワーテルローの戦いまでナポレオンと大・陸軍の盛衰を追いかけていく。ロシアとオーストリアとの1805年のアウステルリッツの戦い(現チェコ東部)は全盛へのハイライトとして特に強調され、ローマ教皇ピウス7世からでなく自分で皇帝の冠を被る逸話などをスペクタクル重視で描き出している。敵兵が割れた氷に落ちるのは、プラッツェン高地の取り合いを軸とした三帝会戦の典型的な描写法ではない。

 一方、ジョゼフィーヌとの愛欲を大いに強調。ナポレオンの英雄的戦いの陰で浮気に精を出すジョゼフィーヌはもう一人の主役としてナポレオンの戦績にも大いに干渉していたとの物語を描いた。アウステルリッツ後のナポレオンが権力欲に溺れて独裁化していくのは、ジョゼフィーヌと1810年に離婚してハプスブルク家のマリー・ルイーゼ・ドートリッシュを選んだからという設定で、ナポレオン伝説の肝心なところまでジョゼフィーヌの影を落とした。

 この動機がもしも第一のものだったら、剣闘士と名乗れないレベルだろう(しかし、エジプト戦線では元ネタがある)。本物のナポレオンは法典で風紀紊乱を取り締まっていた。ジョゼフィーヌは結婚時点で子持ちのバツイチだった。

 

 英雄の甥であるナポレオン3世は、ジョゼフィーヌとボナパルトの弟ルイの子である。