ストラディバリウスよりも今のバイオリン | 歴史ニュース総合案内

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 クラシック音楽を聴き慣れた層でさえイタリアの名器ストラディバリウスよりも現代のバイオリンの方が良い音色と思うことが、フランス国立科学研究院のクラウディア・フリッツ研究員らの調査によって明らかになり、5月7日付で米科学アカデミー紀要に掲載された。古い楽器は古い伝説ゆえにより上質に聞こえるという訳だ。

 研究チームはパリとニューヨークで計137人相手のコンサートを実施。スクリーンで遮断された聴衆だけでなく、演奏者も目隠しをして各3丁用意したストラディバリウスと現代のギターのどちらを流しているのか分からないようにした。すると、現代のギターのほうを音色良しとする聴衆の方が多かった。これまでの研究においても、プロの演奏家でさえなかなか区別できないものという結果が示されている。

 いずれもイタリア発祥のストラディバリウス、ガルネリウス、アマティの3つを世界三大ヴァイオリンと呼ぶ。ストラディバリウスはアマティの弟子だが、師匠よりも遥かに高い知名度を誇っているのは間違いない。

 

 当時の楽器製作技術を無視し、ストラディバリウスの経年劣化も考慮せずに、今の方が優れていると評しても意味がない。ストラディバリウスだから耳心地が良さそうというイメージの勝利である。