いつも思うのだが……何故俺達のこの世界のタイトルは「日常だけど非日常」なんだ?
 そんな事を考えた事は無かろうか。
 全く非日常のないと思われがちなこの世界は、意外にも非日常が含まれる事もある。
 それはかなり低い確率で起こりうる事だが、ゼロではない訳で。
 つまり、結局は「日常だけど非日常」、というタイトルは、この世界の住人に取っては日常で、読者の世界では非日常と言う訳だ。
 それはまぁ、小説の世界なんて大体非日常ではあるのだが。そういう事を言っているのではない。
 なんだかんだで遠回しに言ったが、結局言いたいのは第七話まで日常的だったこの話は、時として非日常になりうる。そう言う事だ。
 ファンタジーのようにモンスターなんてふざけた物は出ては来ない。
 だが、それでも色々と『ありえない、存在し得ないモノ』というものはかなり出てくる。
 突然の急展開で置いて行かれる者もいるだろう。
 お話の一貫として読んで笑って楽しむ者もいるだろう。
 もしかしたら、パラレルワールドの世界の住人が読んでいるかもしれない。
 どちらにしても、この世界の話は色々と面倒だ。作者がノリで作ったギャグものだから。だが、彼に取ってはシリアスがもっとある方が書き易い。
 だからこその世界の変換。
 だからこそ、「日常だけど非日常」になりうると言う訳だ。


 では、日常が非日常に切り替わるこの世界を、もう一度ご覧いただこう。


 第八話「感動です、今回だけかもだけど」(序章)


 いつもまぁ飽きもせずに遊びまくっている五人はいつものように集まっていた。
 結局、月が変わろうと学期が終わろうと。変わる気配を魅せないのがやっぱり彼らなのであった。
 そんな今回も、唐突に恭介の話から始まる訳で。

「海に行こーぅゼぇっ!!」








ちょっとした長編の始まりの予感。



 ちょ~~~疲れたぁっ……。
 

 今日、高校のテニス部の体験的な物を受けて来たんだけど。

 超キツかった……。

 今となっては足は重いし腕も重い。ついでに言うなら全身重い……。
 体力無い上、運動不足な美薙月さんには応えました……。


 あー、どうしよう。入るか入らないかで今非常に迷っております。

 大袈裟に言ったら、入ったら倒れんじゃないの? とか内心思っています。
 

 はぁ……本当どうしようかねぇ。
 例えば、うんざりしながら聞いている真田。
 例えば、頬杖をつきながら聞いている沙耶。
 例えば、もはや聞いている気配もなく本を読んでいる鈴。
 例えば、大欠伸をして眠気眼でボーッとしながら聞いているそぶりをする瑞希。
 四人は相も変わらず、まるで某三年何とか組ーなんたらセンセーみたいに。だが行っている事はくだらない事を熱く、暑く、厚く語っていた。

「後ろ姿が良い娘は、五十%。いや、七十%の確率であまり可愛くはないッ!!」

 今日も変わらず平和である。


    第七話「語る恭介のオンリー・バック・美少女」


 えー、ととりあえずツッコミ役っぽい役柄になりつつある真田が一応、一応続けてやる事にした。
「なんなんだ、突然。いや、もう今更突然とかはもう言わねーけど」
「とりあえず、全国の女性に謝ってほしい気分だわ」
 どこから湧いてくるのか、自信満々に胸を張って、
「これは、俺の経験からと、ある種作者の経験から導きだされた答えだ! 残念だがこれは珍しく嘘でもなんでもない真実なのだっ!!」
「あぁ、いつも真実じゃない事は自覚していたのか」
 まあ、人生ゲームの件は一応真実ではあったが。
 こほん、といつものように話を続ける。
「俺はよく、学校通学の時……ってか大体みんなそうだよな。駅で電車に乗ってくるんだが──」
 何故か、シリアスな空気を漂わせ。何故か、悲しげな表情を恭介はうかべた。確実にくだらないと分かっていても、少しだけ真面目な気持ちになるのは何故だろうか。
 こういう時に、恭介は無駄な所だけ凄い奴だと感心する反面悲しみにあふれる。
「結構女生徒及び女性が居る訳だよ。で、後ろ姿を見ていると『美少女(美人)なんじゃね?』と思って少し早歩きでその人の横を通り抜け様に横目でその人の顔を見てみると……」
 なんだか、怖い話でもしてるみたいな感じの気分だ。


「ぜんっぜん美少女(美人)じゃねーじゃねぇかッ!!」


「何故、こんな下らん事を語っているのにあいつの周りの空気はやけにシリアスなんだ?」
「恭介だからですよ」
「恭介だからね」
「恭介だからじゃない?」
「やっぱりそうか……」
 軽く聞き流している彼らにも気付かず、
「そう、こんな事が結構あるんだ! 後ろ姿を見ていると美少女(美人)なのかと思いきや、全然そうじゃない。ふざけんなって感じだろ!?」
「別に。ってか、マジで全国の女性に謝った方が良いんじゃないか?」
「これが! 『オンリー・バック・美少女』! 後ろ姿だけ美少女だ──────────ッ!!」
「ねぇ、恭介は何を言っているの?」
「私には分からないわ」
 もはや軽く自分だけの世界に入り込み始めた恭介には、もうそんな言葉も届かなかった。
「さて、何故こんな事が起こりうるのか。俺は考えた訳だ」
「んな事考える暇があったら勉強しろ。そうすりゃもうちょっとはマシな点が──」
「だからこそ、髪やスタイルetcを磨いている──そう俺は考えた訳だ!」
「真田、もう恭介には何言っても無駄ですよ?」
「ああ、そうみたいだ」
「何故、こういう結論に至ったかと言うとだなぁ──」 (中略)
 

 一時間後。もう真田達は学校から帰路についていた。
 そんな事にも気付かず恭介は丸々一時間まるで論説文でも音読しているかのように長々と語っていたようだ。そして、語り終えた恭介は「さて」と一息ついて水筒の中のお茶を一口、口の中に含む。一時間も喋ると、口の中が結構乾くらしい。まるでスポンジに水を吸わせるように口の中が潤って行く。



「帰るか」