近年ますます増加傾向にあるのが、健康食品を利用している人たちです。最近では手軽に、グルコサミンや黒酢サプリメントなども、ビタミン、ミネラルだけに限らず買えるようになりました。普段から、ビタミンやミネラルの錠剤、カプセル、顆粒、ドリンクタイプのサプリメントを利用している人もかなりたくさんいます。健康食品やサプリメントなどを、全国で２割程度の人が、国民栄養調査によるといつも愛用しているといいます。1回でも健康食品の利用経験がある、と答えた人は、ネットの情報提供会社による調査では、全体の８割もいたことがわかりました。健康食品の利用のきっかけとしては、テレビ番組を見てという回答が数多くありました。インターネットで知って、家族や親族から薦められて、という回答もけっこう多かったようです。近頃では子どもに健康食品を使う親も多くなってきています。ある調査を国立健康・栄養研究所がしたところ、就学前の子どもの親の15％が、子どもにサプリメントを与えているということも分かりました。脳の発達に良いといわれているＤＨＡなどを利用している親や、病気の予防や健康増進を目的として利用する人も少なくないといいます。健康食品は日本国内で広く利用されていることが、健康食品に関する調査からわかるといえるでしょう。今後もますます健康食品を利用する人が広まっていくことが、健康食品を使っていない人でも興味や関心を持っている人は多いことからも想像できます。
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低炭水化物ダイエットは
リバウンドしやすい
年末年始、ダイエットにチャレンジ
忘年会、正月休み、新年会と、年末年始には食生活が乱れる場面がいつにもましてある。体重が増えてしまう“わな”が、そこかしこにあるわけだ。
一方で、新年を迎えるにあたり、「一年の計は元旦にあり。来年こそは何キロ痩せよう」と目論んでいる人もいることだろう。
そこで年末年始のこの時期に、「痩せること」、つまり広義の意味での「ダイエット」を改めて見つめてみることにしたい。
痩せるためには、食事になんらかの制限をするか、それとも運動をするか。大きく2つの方法があることを多くの人は知っている。「私は食事を抑えて痩せる」「運動をして痩せる」と、ダイエット方法の嗜好も出てくる。だが、それぞれには“痩せ方の質の違い”というのもあるようだ。どうせなら“上質な痩せかた”のできるダイエット法を知っておきたい。
そもそも痩せるとはどういうことかを聞くとともに、食事制限によるダイエットの効果や影響を説明する。
脂肪はエネルギーの備蓄庫──食事制限によるダイエットについて聞きます。そもそも、食べないことを続けるとなぜ痩せるのでしょうか？
私たちは、筋肉を動かすときにエネルギーを使います。また、内臓が動いているのもエネルギーが使われています。このエネルギーを、私たちは食事から得ています。
食事をしなくなると、エネルギーの供給が途絶えます。そうなると、体はエネルギー源になるものを“体内にあるもの”から用意しなければなりません。その1つが脂肪です。
脂肪は、食事で得られたエネルギーの余剰分が蓄積されたものです。食事をせずにエネルギーが入ってこない間は、脂肪が燃焼されてエネルギーとして使われるわけです。脂肪が使われれば、その結果として体重が減る、つまり痩せるということになります。
体重の増減の基本にあるのは、体に入ってくるエネルギーと、体から出ていくエネルギーの差し引きです。プラスになればエネルギーが脂肪に貯えられていって体重は増えるし、マイナスになれば逆に体重は減ります。
栄養素のバランスを壊してはいけない
──世間では、ただ食事の量を減らすのでなく、食事の摂り方を変えることでダイエット効果を得ようとする方法がありますね。例えば、ごはんやパンなどの糖質の多い食事をしない「低糖質ダイエット」に取り組んでいる人も見られます。このダイエットをどう見ますか？
低糖質ダイエットは、かつてロバート・アトキンス氏が考案したことから「アトキンスダイエット」と呼ばれていました。糖質、つまり炭水化物の摂取量を減らすのが、このダイエット方法の特徴です。
確かに、いろいろなデータを見てみると、炭水化物の摂取量を減らすダイエットでは、脂質の管理に重点を置くようなダイエットに比べて、体重の減りかたが早くなるという結果が見られます。
しかし、ダイエット開始から半年以降の体重変化を見てみると、炭水化物の摂取量を減らすダイエットではリバウンドをしやすいことも分かっています。
確かに、炭水化物を摂らないと、膵臓から分泌されるインスリンという物質の出方が少なくなります。インスリンは糖分代謝の要となるホルモンですが、インスリンが出ているうちは脂肪は燃焼されませんので、インスリンが出ないことで脂肪が燃焼されやすくなります。
しかし、食事全体のカロリー量を減らさないとすると、炭水化物の摂取量を減らした分、脂質の摂取量が増えます。その結果、特に脂質の代謝が悪い人たちにとっては、内臓脂肪や皮下脂肪がたまりやすくなってきます。これがリバウンドとして現れているものと思われます。
極端に炭水化物の摂取量を減らすことが、果たして健康的かという疑問もあります。栄養素には、炭水化物、脂質、たんぱく質がありますが、食事制限でダイエットをするとすれば、それら全体の摂取量を少しずつバランスを考えて絞り込んでいく方が、まだ健康的だと思っています。
ダイエットで、糖質制限の方法を使わないかといえば、そんなことはありません。導入として短期的に糖質制限をしてもらうことはあります。しかし、その後は糖質制限のみでなく、普通にバランスの取れた食事制限に戻していただき、トータルで絞り込む方法に移行してもらっています。
「いま私は食事をしている」と意識すること
──食事の量を減らすダイエット自体を、どのように見ていますか？
食事の量を減らすということは、代謝に必要なミネラル、ビタミン、繊維質なども減ってしまうことになります。
また、本当は体のなかの脂肪だけを燃やせればよいのですが、そうはうまくいきません。エネルギーが足りなくなると、脂肪だけでなく、筋肉や骨などのほかの組織からも“平等に”エネルギーが費やされることになります。筋肉や骨の量まで減らしてしまうことは、決して健康なダイエット方法とは言えません。そこで、運動を取り入れたダイエットを、ということになってくるわけです。
──とはいえ、運動がどうしても苦手で、食事制限をすることで痩せようとしている人は現実的にはかなりの数に上ると思います。運動と併せてダイエットを実践している人も含め、「食事制限のダイエットを継続するためのコツ」を聞きます。
常に食事を“意識しながら”摂る、ということを挙げたいと思います。
目の前に食べものがあるとします。私たちは、その食べものを平らげることが、食事の終わりの目印であると普通は理解します。ですので、皿に少ない量の食べものを盛れば、それを平らげることが食事の終了になりますので自ずと制限がかかるはずです。
しかし、それでは食欲が満足しないということも十分に起こりえるでしょう。そこで、「いま私は食事をしているのだ」という意識を、食事の最中も持ちながら食べるのです。こうすることで、食欲にブレーキをかける満腹中枢にも働きかけやすくなります。無意識が早食いをもたらし、満腹を感じる前に詰め込んで食べてしまうとも言えますので、これを防ぐこともできます。
私たちは、食事を意識しないで摂る傾向にあります。きのうの昼に何を食べたか、おとといの夜に何を食べたか。こうしたことを思い出せないのは、食事に意識を傾けていないからではないでしょうか。ゆっくりと味わって食べることが大切です。
