タイ・バンコクでの製薬企業向け説明会で成果を発表する生田研究代表
JSTとJICAの共同事業である、SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)感染症分野のプロジェクト「デング出血熱等に対するヒト型抗体による治療法の開発と新規薬剤候補物質の探索」(生田和良教授/大阪大学)が、「デング熱」の抗体を開発し、2013年06月11日に、タイ・バンコクにて、製薬企業等を対象とする説明会を開催した。
2008年度に採択された本プロジェクトでは、大阪大学微生物病研究所が、日本の研究グループ(大阪大学生物工学国際交流センター、(株)医学生物学研究所)およびタイの研究グループ(保健省医科学局、マヒドン大学熱帯医学部、マヒドン大学理学部)と連携して、熱帯地域で重要な感染症(デング熱、インフルエンザ、ボツリヌス中毒症)対策に取り組んできた。
デングウイルス熱は、年間5千万人が感染し、25万人の重症化例をみる、蚊媒介性の疾患で、現状、根本的な治療法や予防法が存在せず、“顧みられない熱帯病(NTDs)”注)の一つになっている。
本プロジェクトでは、タイのデング熱患者由来血液サンプルを用いて、抗体治療薬の開発につながる「ヒト型モノクローナル抗体」の作製に成功し、現在、in vivo評価により、有効性、安全性を確認している段階にある。インフルエンザウイルスやボツリヌス毒素に対するヒト型中和抗体の作製についても成功しており、同じく臨床応用が期待できる。
途上国では、ウイルスなどの研究資源の国外持ち出しを制限している中、臨床応用を視野に入れた現地でのこのような共同研究を持続的に発展させることができれば、タイなどの熱帯地域ばかりでなく、ASEANなど、アジア各国への渡航者が多い日本にとっても、意義は極めて大きい。また、本プロジェクトで得られた抗体や知見に関しては、将来、デングウイルス感染症の発症メカニズムの解明やデングウイルスに対するワクチン開発への応用等が期待される。
注)顧みられない熱帯病(NTDs:Neglected Tropical Diseases)・・・3大感染症(エイズ、マラリア、結核)と比べて、世界からあまり関心が向けられず十分な対策がとられてこなかった、主に開発途上国の熱帯地域、貧困層を中心に蔓延している寄生虫、細菌感染症。WHOでデング熱を含む17の疾患に焦点をあてている。
SATREPS
国際科学技術共同研究推進事業 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)。
文部科学省・科学技術振興機構(JST)、外務省・国際協力機構(JICA)が共同で推進する、開発途上国との科学技術協力。日本の優れた科学技術とODAとの連携により、環境・エネルギー、防災、感染症、生物資源分野で、地球規模課題の解決と科学技術水準の向上を目指す。平成20年度に開始し、平成25年度までに、39カ国78のプロジェクトを採択。
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