黒髪の美人セラピスト4
そう言えば帰る前にお手製のアロマオイルを入れた香
りのスプレー、 「無くなったらお店に持って来れば補
充しますよ」 とリボンで口を結んだボトルと、 「ポイン
ト溜まりますよ」 と会員カードをもらってトボトボと悲し
い気持ちで家路に向かったことを思い出す。
いつも元気のいいお○ん○んもこの日は下を向いた
ままだった。
20日程前にOさんの施術を受けた後、Oさんキャン
ペーンで20分のリンパマッサージが普段より割安で
受けられると案内してきたので以前受けた時に20分
では物足りなかったので、 「20分トリプルは可能で
すか」 と問い合わせたら逆上されてしまいそれ以来
僕は敬遠していたのだ。 僕としては腹が立つのなら
かわして欲しかったのだが、さぞ不愉快に思ったのだ
ろう。
「私の施術とフーゾクみたいな言い方を一緒にしない
でっ! 失礼でしょ!」 と文面から受け取れた。
Oさんは美人で技術はあるのだが、プライドが高く高
学歴とモテたことをいつも鼻にかけていて 【フン】
と思っていたのと、僕にとっては 【ハプニングが期待
出来ない人】 であったのでOさんのお店にはもう行
かないつもりだった。
オーナーのお店に行った後、Oさんは盛んにメールを
送ってきては、 「○○キャンペーン、○○お安くなり
ます」 とアプローチが執拗だ。 僕はそんなOさんの
誘いに最後に一回だけ施術を受けて次のセラピストさ
んを探そうと決心し予約を入れたのは確かバレンタイン
デーの翌日だったと思う。 大雨の中、15分も歩いて
ズブ濡れになりながらお店に辿り着いて、僕はOさん
のお店ではいつもデカパンの紙ショーツだったので、
『オーナーのお店のようなTバックがいい』 と希望を
出していたのだが、その希望も叶わず、オーナーのお
店に行ったことはまるで無かった事のように話もせず、
【無理なら無理と、話をしたくないのならそう言ってくれ
ればいいのに】 。 施術はいつも通りで一縷の望みを
かけたハプニングもまったく無しである意味想像通り
の淡々としたものだった。 【こんな大雨の中やって
来たのに少しくらいサービスしてくれたっていいじゃ
ないか】 と傲慢な考えが僕の頭をよぎった。
雨は降り止まず、やがてこの日の雨はオーナーの涙だ
ったことを知ることになるのはもっと後だ。
この日の僕は失意のまままたズブ濡れで仕事に戻り、
Oさんのお店の会員証とオーナーのお店の会員証を
【もう行くもんか!】 と破り捨ててしまったのだった。
たぶんOさんに恋心があったのでそんな行動に出てし
まったのだろう。
つづく