似たもの同士3
シャワーから出てセラピストさんが僕を迎えてくれて
期待の施術が始まる。
「うつ伏せでお願いします」
型通りのうつ伏せから始まるのは基本だ。
僕はマットにうつ伏せになり、大人しくセラピストさん
の出方を伺っていた。 そして、施術が始まった途端
にマシンガントークがさく裂だ!
「 !!! 」
僕が口を挟む隙も与えずにしゃべり捲る!
しゃべる、しゃべる!
「あたしぃ~、整体にいたし~、うん、詳しいしぃ~」
いちいち自分の言ったことに自分で頷く。
「うん、背中張ってる。○○筋がほぐれていないから、
うん凝ってる」 いちいちうるさい。
初めてだから会話は手探りが基本なのだが自分には
技術と経験ががあることをアピールしようと必死だ。
僕はこのお店とセラピストさんは初めてなのに、もう
既にうんざりしているのをおくびにも出さず、
「へえ~、そうなんだ」 と相槌を打っていた。
【参った。 うるさすぎる!】
【初めてなのに地雷を踏んでしまった!】
【もう引き返せないんだ!】
【早く終わってくれ~!】
一人で会話が成立しているセラピストさんの話が止ま
らない! 僕の返事や一言など聞いちゃいない。
「○○のリンパが詰まって○○の流れを悪くして、うん、
あたしぃ詳しいから」
「あたしぃ、上手いって言われるし」
「この間も誰々に褒められた」
【そんな奴、知らねーよ!】
マッサージを受ける経験の長い僕から言わせると、
はっきり言ってド下手なのだ。 変な知識がある分余計に
たちが悪い。 マッサージが下手なのは許すとして、
【うるさいうんちくは止めてくれないかな】
せっかく期待とワクワク感を楽しみにしていたのに施術が
始まって5分も経たないうちに音を上げていた。
そしてそんな僕にお構いなしに延々としゃべり続ける
「あたしぃ~」 と
いちいちうるさいセラピストがいた。
そしてまた今日も僕のウズウズしたもやもやを晴らし
てくれそうもない事に、
【今日も発散出来なかったな】
と悲しみの中で自分を慰めるしかないのだった。
つづく