ベテラン
僕は一年の総決算として毎年自分自身のご褒美として
ソー〇ラン〇に行くのが年の瀬の恒例行事であった。
今から10年以上前のことだったと思うが世間一般で言
うところの雀の涙のボーナスを手にした僕は当ても無く
F町を彷徨っていた。 あひるちゃんを探し当てた時とは
違いこの儀式は行き当たりばったりが原則で 【ムムッ】
ときたところに突撃するのが常だった。
他店のお兄さん連中の激しい客引き合戦に参加せず
【これは!】 と思った店に飛び込むのが慣わしだ。
「いらっしゃいませ!」 いい感じだ!
カクカクしかじかと説明を受けて納得したかどうかは
忘れたが、 「それではお楽しみ下さい」 と男性店員の
威勢のいい声で "嬢" とご対面だ。
「、。、!」
【お、お婆さんか!】
【今ならまだ間に合う。引き返そう】
そう思った僕の心を見透かすように男性店員は何故か
3人に増えていて皆一様に腕組みをして僕を威圧して
文句を言わせない体勢を構築していたのだ。
パンチパーマで屈強な男3人の強い視線が蛇に睨まれ
たカエルのように僕の心をを射抜く。
そして、
「戻れないんだよ、お客さん」
無言の圧力に屈した僕は、
【これは組織的だな】
何事にも過敏な僕は贖う事を止め階段を先に上った嬢
の後にスゴスゴと付いて行くしかないのだった。
そして下を振り返ると
「うんうん。それでいい」
と頷く3人の屈強な男たちが安心したように僕を見上げ
ているのだった。
つづく