20歳の時に友達にもらってナイロンギターを始めたときの
宣言どおり、25歳でバーでライブを開催した僕は

ますます音楽への思いを強めていった。

24歳でようやく心理学の学位を取得したあと、
臨床心理士の資格取得の要件を満たすために、

大学院に行くお金をためるべく

フリーターをしていたところだったが、
僕の心の羅針盤は、心理学ではなく

ギターのほうばかりを向くようになっていった。

そこにとどめを刺すような形で出会ったのが

「心の治療に専門家は要らない」という本だった。

これはおそらく臨床心理学のパイオニア河合隼雄先生の

「心の治療にメスはいらない」をもじって作られたタイトルだと

思われるが、この本を読んでからというもの、

致命的に心理カウンセラーになることへの興味が

失われてしまったのだった。

それでも「こんなことしていてはダメだ。もっと勉強しなくては」と
いう焦りだけは続いていた。

そんなもやもやとして、人生の舵を失った幽霊船のような生活が続いていたころ、僕の行きつけだったボサノバカフェバーの

マスターから

あのボサノバの神様、ジョアン・ジルベルトが初来日ライブを

するという衝撃的ニュースが飛び込んできた。

ジョアンはすでに高齢だったため、

そして超好き嫌いが激しいため、
最初で最後の来日になるかもしれないという

触れ込みつきだった。
 

この機会を逃すわけにいかない。


ボサノバ好きのバーのマスターと

同じくバーの常連だったCD屋店長と
飲み友の自転車屋さんと僕とで行くことに決め

チケットをCD屋店長に入手してもらった。

さすがCD屋店長のスペシャルルートだと関心した。


なんといってもジョアン・ジルベルトこそが

僕がギターを続けた理由そのものだった。
ジョアンだけがボサノバだ。

あとはボサノバではないとさえ思っていた。

彼のようなギターが弾けるようになりたい。

そう思って続けてきた僕にとってはギターの神様である。

お金がなくても行かなくてはならない。

なけなしの金で買った、チケット。
早朝にバーの前で集合して男四人で車を交代して運転して

横浜アリーナまで向かった。。


車中では、これからついにジョアンの生ライブが聴けるという

夢ごごちムードでテンションがあがっていた。

ボサノバの神様の歌とギターを聴いて、その後は中華街で

中華三昧だ!!


一方、高速道路はおそろしい渋滞にみまわれていた。

おそらく事故だろう。。

その内解消されるだろうと気楽に構えていたのも遠い昔、

いっこうに進まず車内の空気は、

口にはしないが、脳裏に浮かぶ嫌な予感とともに

次第に重くなっていった。


ライブ開始まで2時間前、1時間前と迫っているのに

ライブ会場まではまだまだ距離がある。

「このままでは間に合わない。。」

嫌な予感どおり、渋滞にはまってうだうだしているうちに、

ついにライブ開始時間になってしまった。


最初とは打って変わって、皆あせりと苛立ちで
車内はどんよりとしたムードになっていった。

横浜出身のバーの常連Kさんに連絡を取り、

一般道に下りるべきか、このまま高速にとどまるべきかの

アドバイスを仰いだ。


すでにライブ開始時間がかなり過ぎていた、

このままではいよいよ終了してしまう。。


その焦りのなか僕は心の中でずっと祈りとともに

ある誓いしていた。

「神様お願いです。ジョアンのライブを聞かせてください。
一曲だけでいいんです。

もし願いがかなったなら僕はプロのギタリストをめざします!」


今思えばばかげたことに思えるのだけれど、

当時は真剣だったのだ。そして運命の時を待った。


会場に到着できたのはライブ開始時間の2時間後だった。


「一曲だけでも聴けるかもしれない!!」

あきらめず4人の男たちはホールへ向かって全力疾走した。

僕よりふたまわりも上のオヤジたちがこんなに早く走れるものか

と感心しつつ。。

ドアを開け、真っ暗なホールに入ると、

何千人という聴衆がステージ上に

ぽつんとライトで浮かび上がったジョアンが奏でる

ギターと歌に聞き入っていた。

夢が叶い、あったかい涙がほほを伝った。
涙のせいでジョアンがより神々しく輝いて見えた。

一曲でも聞けただけで僕は本当に幸せだった。


けれど最後だと思っていたら、

それから結局アンコールも含め10曲以上聴くことが

できたのだった。感涙。。

後で知ったことだが、ジョアンがステージに現れたのも
開始時間を2時間ちかくも遅れてからだったらしい。。
さすがブラジル時間。
 

ちゃんと見てなかったけど、そのことがチケットにも

注意書きとして書いてあった。。

 




おかげで僕は最高のライブを聞くことが出来た。

ステージにぽっかりと浮かび上がるジョアンは

まるで僕だけのために歌ってくれているかのようだった。

何千人の聴衆で隔てられた距離を越え

ジョアンの詩とギターが僕の心にしみ込んできた。

涙を流しぱなしで、僕は車中で立てた誓いを

心の中で繰り返していた。
 

「ジョアンありがとう。僕はギタリストになるよ」



続く



 

 

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