元日本陸軍の軍曹で銃創まであったマンガの様な経歴の祖父は、やはり絵に書いた様な頑固者で、家族からも疎まれていたが、初孫の自分にとっては優しいじいちゃんであった。
秋田出身の祖父と新潟出身の祖母が出会い生活を共にしていたのが滝野川、細部はすでにあまり記憶にないのですが、確か祖父は巣鴨あたりの工場、祖母は十条あたりの造幣局に勤めていて、祖父母からよく王子という地名を聞いたので、まだ戦争に巻き込まれる前の若かりし頃の思い出の場所だったことは間違いない。
その後祖父は出征し、祖母は生家のある塩沢に戻った。
祖父は戦後3年経って復員し、そこから新潟での生活がスタートした。
今回は、そんな縁のある王子で行われた新年の行事「王子狐の行列」に行ってみました。
外国人にはかなり観光として情報が浸透しているようで、現場では明らかに外国人の方が多い。
タイムズスクエアみたいに、ところどころで微かに日本語が聞こえる様な、圧倒的に外国人ばかりの状態。しかも何語かさえわからない様な言語のカオス。
しかし、男女を問わず焚き火のまわりでは、みんながほぼコップ酒を片手に持っている。なかなか楽しい光景だ。
行列が始まる直前まで露店と焚き火のある場所で過ごし、行列の開始に合わせてメインストリートに移動。
昨日は八戸にいたというロサンゼルスからバケーションで来た先生と、中国人ファミリーと共にカウントダウンで新年を祝う。
その後、行列に合わせて移動しながら見物。
幻想的で美しい祭りであった。
やはり、こういう場面では英語と世間話の能力が問われる。
先生は八戸の何かを伝えたかったらしいのだが、こちらが全く分からず非常に残念であった。
しかし、ほんの数時間のイベントにこれだけ世界中から外国人を呼び込む王子の力量は端倪すべからざるものがある。
蕨からも、僅かほんの数駅。都心からのアクセスで言えば、それほど変わらないと言える。これが情報発信力ということなんだろうか。
こちらのイベントのフェイスブックのPRでは、まず英語で次に日本語の説明になっていた。
この意味が現地に行って初めてわかった。
これまでもいろいろなイベントに参加してきたが、外国人もまたちゃんとお客さんとして呼び込もうという意識と、日本的なイベントをやれば放っておいても勝手に来るもんだという意識の差でイベントの質がまるで違う様に見えた。
行列自体は地域の人と事前申し込みの人だけが参加する形式なのだが、お面を買うだけで一体化できるエンターテインメント性は凄い。
イベントとしても、外部の露天商を入れていないことで非常にクリーンなイメージだ。全てが実店舗での買い物に繋がっている。
こういうのも大事なんだろうな。
そういえば、一介の勤め人だった祖父が軍曹になれたのは、軍人として華々しい戦功をあげたわけではない。
座学の時に上官から質問があった時に、みんなが手を挙げると思ってたら結局手を挙げたのが1人だけで、分からないながら適当に答えたところ、答えは外した様だったが、手を挙げたのがお前しかいないから仕方ないということで決まったと言っていた。
本人はラッキーだったが、どうやらすでに人手不足だった軍では、役職を決めるのもそのぐらいアバウトだった様だ。