M先生による、最近の税務動向、裁判例・判決例と教本(『顧問税理士のための相続・事業承継の実務に必要な視点60』)について、5月度の勉強会を行いました。

 

【最近の税務動向と裁判例・判決例

・総則6項の地裁判決における課税庁敗訴の事案について

  ~令和6年1月18日 東京地裁判決~

・買戻条件付の種類株式に係る文書回答について

・代表取締役等住所非表示措置の申出手続き等について

・税務調査の実態について

 

【教本『顧問税理士のための相続・事業承継の実務に必要な視点60』より】

《民法改正》

・遺留分制度の見直しについて

・特別受益の持戻し免除について

・預金の3分の1仮払制度について

・特別寄与分について

 

最近の判決事例として総則6項を巡る事案について解説をいただきましたが、その中で「租税回避行為のようなものがない場合には、納税者に不利益を甘受させるべきではない」という主旨がポイントとなり、地裁判決により課税庁は敗訴しました。(高裁へ控訴中であり、今後の動向を見守りたいと思います)

これは総則6項の適用基準の本質を捉えた意義のある事案であると言えます。

実は、生命保険契約の約款の本質的な解釈と実務を巡り同様の事案が起こり得ます。

顧客は生命保険を約款の内容に基づいて契約します。

しかし、約款の条項には「保険会社の承諾」を必要とする条項があり、その場合、保険契約者と被保険者の意志のみで申出が認められるとは限りません。

一般的に、ここで言う「保険会社の承諾」の基準となるのは「保険会社が定めた内規」を指し、保険会社の事情により変更されます。

当然のことながら、保険会社の内規は約款に記載がありませんから、契約者自身が事前に知る由はありません。

その為、契約者が契約内容について何らかの申出を保険会社にした場合、それが租税回避行為を意図していないものであっても保険会社と認識の相違が起こる可能性があります。

ただ間違いなく言えることは、そもそも生命保険約款の趣旨は保障の健全な継続性を目的としており、「顧客本位の業務運営に関する原則」においても「顧客の最善の利益の追求」(原則2)が示されていることです。

この点を基準として適正な判断をしていくことが真に顧客を守っていくことになるのではないでしょうか。

 

M先生、ありがとうございました!

 

知らなかった事を知る喜び、そして顧客の問題解決のためにA・B・U・K・Uの研鑽は続きます・・・