ヒエつき | あぶぐまの里にっき

あぶぐまの里にっき

阿武隈の地に移り、昔ながらの農とくらし、技の継承を目指していたが、原発事故で自然・社会環境、自分の心も全てが変貌。

 うちでは雑穀は、粟、キビ、ヒエ、もろこしなどを手がけていますが、今年度は手がまわらなかったのと、暑さで生長不良だったのとで、収量は少なめで、種の確保にとどまるものばかりでした。しかし、田んぼのヒエはよく実り、ついに今年、今まで手をつけられなかったヒエの精白にチャレンジすることにしました。

 といっても量は少なく、精白機に投入するには足りないので、保冷庫に貯蔵しておいた前年度の分と、知人の分とあわせて約8kgをまとめてつくことにしました。

 工程は「水に浸す」→「蒸かす」→「乾かす」→「機械でつく」という「黒蒸し法」。
これらの手間がかかるのと、経験がなかったのとで今までやったことがなかったのでした。



さて、初日。
知人を頼りにして自分では全く調べも聞きもせずに蒸かすことに。水にも浸さぬまま、簡易かまどの蒸篭でガンガン蒸かす。
ところが、なかなか殻が割れてこない。そこで知人がテキストを見ると、水に浸し忘れていたことに気づく。
よく見ると下のほうは多少割れていたようだが、水に浸しなおしてやり直すことに。

翌日は雪で延期。

さらにその翌日、ようやく再チャレンジ。
水に浸したヒエは数十分で内側の殻が割れてきました。
ポイントは、どうしても下の方ばかり割れてくるので、こまめにかき回せればよさそうです。量がそれなりだとあまりうまくできないのですが。ちなみに今回は1回に蒸かす量を減らすために4回に分けて蒸かしました。
殻の割れ具合ですが、外側の殻(米で言う籾殻の部分)でなく内側の殻が割れればOK。よく見て少しでも割れていたらよしとしました。均一にはできずに、蒸れすぎのところは殻から実が飛び出るほどになってしまっていました。

次に乾燥。

十分に乾かさないと機械に通せないし、保存もできません。知人が用意してくれた網状のものを部屋に並べ、その上に広げて乾かしました。約3日で完全に乾いたのですが、少しネズミに食われてしまいました! そこの家ではネコを飼っているというのに。

まあ、一部だったのでよしとしましょう。

次が最後の工程、精白。
他の雑穀と同じように循環式精米機の網部を雑穀用につけかえて、スイッチオン。
空回りしないように針を見て強さを調節しながら、また機械の強さを最大にしても針が振れない場合は、つかれて上に押し上げてくる部分をヒエの山の上から手で押さえつけて強さを調整。
外側の殻が多く、網が細かいため糠出口から落ちずにヒエと一緒にまわり続けてしまい、また圧力も強くなりすぎてしまうため、途中で一度とうみにかけて殻をとばしました。
そしてまた続きを。

合計1時間くらいでしょうか。だいたいがつかれて殻のままのヒエはほとんどなくなりました。しかし、完全にはなくなっていない。糠の落ちるケースにはかなりの量がたまっている。歩留まり半分くらいになってしまっています。殻部以外にも、食べる中身も砕けて落ちてしまっているようです。このまま機械を続ければ、未精白の粒はほぼ0にできそうですが、それ以上に砕かれて落ちてしまう量が増えそうなため、ある程度のところで終了し、あとは手で選別することにしました。もう一度とうみにかけてその日の作業は終了。残りは選別。まだ始めていませんが、粒は細かく、ちょっと労力かかりそうです。
↓機械を動かし始めて少し


↓一度とうみみかけた後




年内に終えたかったけれど年越してしまった作業。
大豆の脱穀と選別はほぼ終了。
ヒエの精白は終わり、あとはちょっと大変そうな選別。
小豆もまだもう少し。