ほまげの設計概要を続けます。
今回は回路と結線。
結線回路図
先に結論を示すとこんな感じ。
(なにが何やらという感じかも知れませんが。)
最初からこの結論に至れるわけもなく、何度もトライ&エラーを繰り返してここへ着地しています。
現在は実装実測値を使わないでの机上シミュレーションですので、最終的なクロスオーバー定数は上図から変化すると思います。
ソフトランディングの為の事前Simulationです。
図中左端にある3つのジェネレーターはそれぞれパワーアンプ出力を示しています。
ご覧のように、Lch, Rch, Sub-chの3つのパワーアンプが必要です。
上図のとおり、D1~D4にはアンプ保護用の直列抵抗4オームがシリーズされています。
これにより、ドライバーは等価Qtcが高くなりますので、前稿では予めそれを折込済みのエンクロージャー設計を行いました。
結線図の合成Simulation
上図のXoverネットワークで信号合成された結果のシミュレーションが下図です。
振幅特性(SPL)のみ。
グリーンの点線 --- がシミュレーション合成特性です。
赤線のミッドレンジ部、W3-2141の能率が妙に低く見えますが、これは1本分のSPLを表示しているから。
L+Rの和信号で実際にはW3-2141の2本分が合成されて+6dB能率が上がり、グリーン点線のEfficiencyになります。
巧くすれば20Hz-20kHzでウルトラワイドだが、位相干渉の多い多ドライバでこんなに巧く行くか?
上図だと、フルレンジとトゥイーターのクロスは1.5kHzのように見えています。しかしこれは、Efficiencyが揃っていないため。音圧を揃えて観ると、アコースティックスロープは4kHz付近でクロスオーバーするようです。想定通り。
ただし上図はあくまで机上信号での合成結果。現実には動かしは始めた段階で位相/振幅実測し、スロープを微調整しなければなりません。吸音材や錘り、パッシヴ素子での調整になります。
上図は(Fsを除いた)合成インピーダンス。
なんとか全域で4Ω内外に収まりそう。
これならアンプが気絶することも無いでしょう。
オリジナルの結線とは似ても似つかない構成のこのシステムですが、出てくる音は間違いなく、マトリクス(行列式)の結果が出力されてきます。これら結線回路は、取り外し可能なマトリクスヘッドの裏板へ実装し、調整可能にする予定です。