灯りがつくと、さおりが一人。
小声で歌を歌っています。
やがて、明美が登場。
途中から歌にかぶります。
試験中は部室も出入り禁止なのです。
明美は部室で勉強すると、けっこう集中できるのです。
まじめというより、好きなのです、演劇部が。
松永も坂下も来週は来るという明美。
二人とも本当に体調が悪かったみたいです。
吉岡先生が辞めたショックもあったとは思うのですが。
明美がいうには、吉岡先生、やっぱりひどいと思います。
地区大会、やっと勝って、いよいよ県大会ってときに学校辞めちゃうなんて。
明美はさおりが新しく書いたところが好きだと、言います。
宇宙はどんどん膨らんでいく、だから、僕たちは宇宙の果てにはたどりつけないというくだりです。
前に、中西さんが言っていたのです、人間は一人だって。
中西は転校してきてから、すぐに演劇部にはいりませんでした。
中西は、岩手の出身だという明美。
中学のときに引っ越してきたらしいのです。
中学のときというと、震災被害にあっている筈です。
ガルル、ユッコ登場。
中西が岩手出身だと聞くと、岩手出身だと、宮沢賢治さんの故郷だというガルル。
中西は震災のあとに引っ越して来たとガルルたちにいうさおり。
だから、「カンパネルラ、髪が濡れてるよ」とか、辛い台詞だったのかも知れない、中西さんには、というさおり。
劇作家とか演出家って、ひどい仕事だよね、どんな辛い台詞でも、役者に言わせるんだもん、というさおり。
役者だって、辛い台詞でも笑顔で言うんだよ。
親が死んだときでも、お馬鹿な台詞で客を笑わせるのが役者だというユッコ。
松永美緒、上手から登場。
明美と一緒に、図書館で勉強する約束をしていたのです。
残る三年生たち。
明日、稽古をやろうというさおり。
しかし、試験中は部活は禁止です。
三年生だけで、というさおり。
明日二時に駅前で待ち合わせする事になります。
ここまでが、第3場です。
高校時代はともかく、劇団の研究所に入ってからは、人より上手くなろう、役をとろう、そればかりに夢中になって、僕などが持った事もない発想で、正直平田オリザさんの着想は、演技者と真摯に向かい合ったものだと、考え込ませられました。
ところで、平田オリザさんに関するこの本でワークショップという言葉、存在を初めて知りました。
だからどうだと言われると困りますが、このところ頭に引っ掛かって離れない言葉です。