記念すべき日。 | つれづれパリ日記

つれづれパリ日記

パリでの日常-マルシェ、お食事、ファッション、バレエ、スポーツ、読書など、日々のささやかな幸せを丁寧に綴っていきたいです。

2012年1月20日、金曜日
朝のお天気、曇り
気温 9℃



パリ3区のサンドニ門

ここに足を運ぶのは2度目です

今日、正式にサインをして
パリに不動産を買いました

私が今借りている家の大家さんは
ノルマンディーに住む
私と同い年くらいの娘さんが3人いる
すでに仕事をリタイアしているムッシューで
ここ数年
体調があまりよくないので
寒い冬の間をパリで過ごし
施設が整っているパリの病院にも気軽に通いつつ
夏の間をノルマンディーで過ごすような生活をしたいので
すぐにという訳ではないが
引越しを考えて欲しい、と
打診されていたのでした

家を出るとすぐに凱旋門が見えて
近所にマルシェがあり
仕事にも通いやすく
小さいですが、立地条件が最高に良い今の家が
本当に居心地が良く
とても快適に暮らしていたので
引越しを打診された時は
正直、ショックでした。

ここ5、6年で
パリはどんどん家賃が上がり
いい場所に満足のいく家賃で家を借りるのが
難しくなってきています

ぐうたらな私は
きっと
こういう状況になって背中を押されなければ
パリで働いている間
いつまでも賃貸で今の家に住み続けていたと思うし
パリに不動産を買おうと思わなかったと思うので
これも
巡りあわせなのだと思います
っていうか、巡りあわせだと思うことにしました

日本のように
新築物件が簡単に建たないパリは
いい立地の不動産価格が下がることはほとんどなく
借りるにも、なかなかいいお部屋が探せなくて
買うのも、なかなかいい物件がなくて
完全な需要過多

人生に絶対はありませんが
パリの家は
まさに不動産、なのです

不動産をわざわざ買わなくても
引き続き賃貸でもよかったのですが
不動産屋への手数料として家賃の1ヶ月分を支払い
家賃の2ヶ月分を前納して
家具付きの物件はほとんど無いので
そのお部屋に合う家具を買ったりすると
結構お金がかかるし
家賃を節約しすぎて
学生の延長のような暮らしをするのも
もうそろそろ卒業したいと思い
賃貸より買い物件を探すことにしました。

探しても探しても
なかなか
訪問したいと思う物件がないまま
フランスの夏のバカンスに突入して
不動産がほとんど動かない7、8月が過ぎ
その間に
自分のお給料が振り込まれている
自分のメインバンクへ何回か足を運び
どのくらいのローンが組めるのかシミレーションをして
およその上限の予算を頭に入れて
9月からまた家探しを再開して
10月に一件
訪問する前に、すでにここがいいかも と思う物件を見つけ
2回家を内覧しに行き
仮契約をして
現在に至りました 

いわゆる、いい立地で価格が相場に比べて少し安いような
皆が目をつける好物件は
早い者勝ちで競争になるので
大急ぎで仮契約をこぎつけ
手付金を払い
そこから
いくつかの銀行で予約を取り
欲しい物件があるのでローンを組む手続きをして下さい、と
書類を作成して
最終的に、よりいい条件でローンが組めるように
銀行を比較して
そのうち、少なくとも二つの銀行から
ローンが組めます、という証明を出してもらったり
慣れない作業に
本当にしんどかった数週間がありましたが...

なんとか
今日を無事迎えることが出来て
よかったです 


日本のように住宅ローンで
35年ローンという制度のないフランスは
マックス25年ローンまでで
月々の支払い金額が
1ヶ月のお給料の3分の1を超えてはいけない、という決まりもあり
無理なローンが組めないように
たくさんの規制があります。
金利は4%近くで
自分の年齢を考えても
そろそろローンを組むことが出来るぎりぎりの年齢に差し掛かり
今を逃すと
一生家を買えないという年齢でもありました。

まあ、ニコニコ現金で不動産を買う分には
全くなんの制約もないのですが~

 

 

パリで不動産売買をする場合には
必ず
notaireという、公証人を間に立てなくてはなりません。

たまに、建物の上に
このような金の小さな看板を見かけますが
これは
notaireという公証人のsociete=団体がこの建物の中にあるという印で
notaireという人はある意味特権階級で
限られた人しかnotaireになることが出来ず
認可制なので
誰かが退職をすると
新しく誰かがnotaireになるというような感じで
急に人数が増えることはなく
不動産売買は途絶えないパリなので
とても安定していて、保証された職業だそうです。

notaireの取り分は法律で決まっていて
だいたい不動産の金額の7~8%くらいで
その内訳は
税金とnotaireへの手数料とのことで
notaireがお金を騙し取ったり、ずるしたりすることは
ほぼ無いとのことです。

フランスは
買った不動産を5年以内に転売する時には
莫大な税金がかかるそうなので
不動産の転売などはほとんど行われないそうで
銀行の査定も厳しく
身の丈に合った
studio=ワンルームマンションを買いました。



こだわったのは
治安が良いといわれている立地
日当たり
エレベーターがあること
(→フランスは古い物件が多く
エレベーターが付いていない物件もまだまだ多いのです。)
仕事に通いやすいこと
などなど...

妥協したのは
広さでした。

1930年に建てられた
フランス建築史でいうところの
アールデコ時代に建てられた建物の一室を購入しました 

契約書にサインした後
山のように手渡された鍵

売り手は80歳を過ぎたおばあさんで
病気がちなので
おばあさんの資産を売って、生前贈与をするとのことで
そのおばあさんの娘さん
(でも、すでに母くらいの年齢)が
売却の代行をしていて
どの鍵がどこの鍵だかわからない、とのことで
とりあえず
全部鍵を渡すので
要らない鍵は
管理人に渡しておいて下さい、とのこと

今日は
契約書にサインした後
どの鍵がどこの鍵なのかチェックするのに
時間を費やしました 

ボロッボロの内装なので
全面改装します 

お部屋の天井高や窓の大きさなどなど
さまざまな場所の寸法を計り
ざっと間取り図を作成して
どのような内装にするか
検討に検討を重ね
どの業者に工事に入ってもらうのか
少なくとも3社に見積もってもらって
内装工事費用を比較したほうがいいとのアドバイスで
内装工事業会社が決まったら今度は
その計画を建物の管理組合へ提出して工事の許可をもらい
そこからやっと内装工事を始めることが出来ます。

この、管理組合の許可を取るのが
なかなか大変らしいです。
管理組合やご近所付き合いは
日本と比べるとフランスのほうがずっと
密接です。

1930年に建てられた古い建物なので
(パリでは、もっと古い建物に住んでいる人も多いですが...)
水道の配管なども点検しなくてはいけないし
内装工事にもどんなトラブルが発生するか未知数で
実は今日はまだ
初めの第一歩に過ぎなくて
新たな長い長い道のりが始まりましたが
大変~ と嘆くのでなく
楽しみたいと思います 

日本のように
何事も事がスムーズに運ばないフランスで
目標
「今年中に綺麗な内装にすること



大事な日だった今日は
私が持っているPaule Kaのお洋服の中でも一番くらい古い
着慣れたワンピに
ハイジュエリーとコスチュームジュエリーを重ねづけして
ミュゲ Kateを書類でパンパンにして
シャネルのウェッジソールブーツを履き
エレガントにも着れるふわふわのダウンを着て
不安な気持ちを好きなもので包みこんで
緊張のサインをしてきたのでした。

今日からまた
新たな気持ちで
頑張ります