「ああ、はい。それで?」
「んーと、それでね。私はそこでこの子とばいばいしたのよ。そのまま、学校に向かって行ったわ。パンを食べながらね」
 お前それまさかトーストのパンをくわえてたんじゃなないだろうな? 学校に遅刻しそうな朝の登校で走ってたら道の曲り角で同じく走ってくる美少女とぶつかって運命の出会いをするドキドキハプニングイベントタ~イムじゃないか。そしてその美少女は『す、すみません!』とか言いながら走り去ってしまい、生徒手帳を落としてしまうが、朝のホームルームで転校生を紹介され再会を果たすという学園ラブコメディの定番中の定番のアバンチュールのフラグじゃないか。
「ねえ!聞いてる?」
 頭の中が銀河の彼方へ飛び出していると、その声で現実に戻された。
「ああ。聞いてるぞ! トーストのパンを食べながらだよな?」
「は? いや、普通にジャムパンなんだけど」
 麗奈の白い溜息が空気中で音を奏でると、
「で、登校してたら勝手にこの子が跡をつけてきたわけよ」
 言い訳も出来ないまま話は進んでいき俺は、
「へえ……」
 としか相槌を打てなかった。
「最初は気づかなかったんだけど校門でやけに周りから見られてるなと思って後ろ見たら、足元にこの子がいたのよ。それからお腹空かせてるかもと思ってミルクあげて、裏庭までも連れて来たのもこのまま教室まで付いてきたら困るしね」
 嬉しそうに話す麗奈はその場で立ち上がると俺の横に並び立ち、
「でも、ミルクと餌入れの調達にはちょっと骨を折ったわね」
 と満足した様子で両手を絡め、その腕を空に向けて『ん~』と声を出しながら伸びの姿勢をしていた。
 その時横で光る物が見えた。