『アイアムまきもと』で絶賛映画宣伝中の阿部サダヲさんだが、
前作の『死刑にいたる病』で、殺人鬼を演じるのにあたって、
家から現場まで、気持ちを持っていくため、
自分で運転する車中、
『ビバルディ、四季の冬』をずっとかけていたという。
すると「あー人○してえ!」と思えたそうである。
このときに、ロックコミックバンド、グループ魂のボーカルの破壊こと阿部サダヲさんが、クラシックの音楽を挙げたことは興味深かった。
ビバルディの四季なのだが、私にとってはとても牧歌的で、たとえ冬の第一楽章であってもメルヘンチックに聴こえる。
なかでも私が四季の中で好きなのは、
「冬」の第二楽章。
おばあさんがうつらうつらと暖炉の前で編み物をしているシーンが目に浮かぶ。
で、テーマは「破壊」なのだが、
私が絶望するのはこの曲。
聴いてるとホントに○にたくなる。
第一楽章の途中、突然音量がマックスになる瞬間、
指揮の先生があれほど「自分でタイミングを計るな!俺を見ろ!」と何回も言っていたタイミングなのに、
それまで鬱かなんかで練習に出てこなかったテラオ君が、
定期演奏会に現れ、
あろうことかそのタイミングを外して、
会場が静まってるその瞬間に
キッ
とバイオリンを鳴らしてしまった。
まあ今から思えば、
第一楽章でそんなあり得ないへまをしたのに、
第四楽章まで演奏してったテラオ君は偉い。
しかし演奏会が終わって、かける言葉はなかった…。
テラオ君は夜の練馬にひとり消えていった。
それ以来テラオ君には会っていない。
どこに行ってしまったんだろう。
生きているのだろうか?
いないのだろうか?