1月某日、森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために@森美術館に行きました。
環境危機に現代アートはどう向き合うのか?
国内外アーティストによる歴史的な作品から新作までを紹介、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考える展覧会。
興味深い映像作品も多くて、きっちり見てたらたっぷり長居してしまった!
帰りに近所のローラン・グラッソ展も寄るつもりだったけど、すっかりスタミナ切れ。また後日になりました。
ちなみに現在、ヒルズIDをお持ちの方に、本展の入場料50%オフクーポンを配布中だそうです!
これから行く方は嬉しいですね!私は少し前に行ったばかりなので、ちょっと残念😂
しかしそんな私にも朗報なのは、本展のチケットでオラファー・エリアソン展が1000円引きキャンペーンも実施中。
こちらはこれから行く予定だったので、わーい🥳
さて、地球環境が主なテーマである今回の展示では、会場もエコ活。
一部の壁は塗装仕上げがされておらず、前回の展示壁を再利用しているそうです。
前回の展示というと、ワールド・クラスルーム展かな?
こういう裏側の姿って、なかなかお目にかかれないから逆にワクワク。
今後もずっと剥き出しの壁というわけにもいかないかもしれないが、美術館運営としての模索のひとつだそう。
作家と来場者と美術館、三者をテーマに組み込むような空間の展覧会でした。
ホタテの貝殻を踏みしめる
地球上のあらゆるものと影響し合い、関係している私たちの暮らし。
「全ては繋がっている」と題した1章では、そうした相互の連関や循環のプロセスを示す作品が集う。
スウェーデン出身のニナ・カネルは、物質の変容する過程や相互作用を前景化してみせる。
ニナ・カネル 《マッスル・メモリー(5トン)》 2023年
ブースいっぱいに敷き詰められているのは、5トンもの北海道産ホタテの貝殻。
その上を、パリンパリンと砕きながら歩く。
セメントの主な原料である石灰石は、貝やサンゴなどの死骸が海底に降り積もってできる。
鑑賞者は貝殻を踏み潰しながら、生物の一部が人工物に近づいていくことに加わる。
毎年大量に廃棄され、再利用が喫緊の課題となっているホタテの貝殻。
一方で、それらが建材となる過程には重油を原料とする多大なエネルギーを消費する矛盾も抱えている。
石灰石ができるには、数億年もの時がかかる。
果てしない時間をかけて育まれる地球環境。そこに干渉するポッと出の人間。
「火は森を一日で灰にする。水と風は100年かけて森を育てるんじゃ」と風の谷の城オジも言ってた。
だいぶ前に「最近では魚が切り身で泳ぐと思っている子供がいる」という都市伝説があったけど、自分も全く例外じゃないなあと思う。
身の回りにあるものひとつひとつ、どういうプロセスで出来ているかもよく考えずに享受していることの方がずっと多い。
それほどに出来合いのものに溢れ、そこにある環境を当然として生きている。
この展覧会を通して、自分がいかに(良くない意味で)素朴に、上澄だけすくって生きているかを改めて思いました。
環境行動についても日頃、たとえばフードロスしないとか、電気水道こまめに止めるとか、ちょっとしたものは手洗いして洗濯機を使い過ぎないとか、せいぜいごく当たり前のことしかしてない。
でもそんな当たり前のことも身近なエコ活動のひとつだそうで、知らず知らずにしていることが環境に繋がっていて、できることは普段の生活にも結構あるんだなと思うと、まずは気負わずに取り組むことができそうです。
一方で、手軽にできることや身近なPRの中にひそむ、聞こえのいいグリーンウォッシングを見極める難しさとか、やはり知ること考えることも同時にしていけたら。
どのようなプロセスを経て、どこから来てどこへ行くのか。
成り立ちと行末について、見過ごしているものにも関心を持ってみる。
これまた当たり前のことだけど、貝殻を踏みながら思いました。
…などなど。
またもや長くなってしまったので、今日はこれにてもいもい
私たちのエコロジー 地球という惑星を生きるために [ 森美術館 ]
森美術館開館20周年記念展
私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために
会期:2023.10.18.水~ 2024.3.31.日
会場:森美術館
WEB
産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われています。この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。本展はその問いから構想されました。
本展では、国内外のアーティスト34名による歴史的な作品から新作まで多様な表現約100点を、4つの章で紹介します。第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の活動が複雑に絡み合う現実に言及します。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直します。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介します。最終章である第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)、精神性(スピリチュアリティ)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描きます。
本展のタイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけです。人間中心主義的な視点のみならず、地球という惑星を大局的な視点から見渡せば、地球上にはいくつもの多様な生態系が存在することにあらためて気付くでしょう。本展では、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案します。また輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を通じて、現代アートやアーティストたちがどのように環境危機に関わり、また関わり得るのかについて思考を促し、美術館を対話が生まれる場とします。