少し前になりますが、ゴッホ展ー響き合う魂 ヘレーネとフィンセント@東京都美術館に行ってきましたひまわり

 

 

2大ゴッホ美術館のおひとつ、クレラー=ミュラー美術館のコレクションから、ゴッホはもちろん、ルドンスーラモンドリアンまで集う盛りだくさん会。

おまけに、ゴッホ美術館から《黄色い家》まで貸し出されるスペシャル特典付きです。

 

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《黄色い家》1888 ゴッホ美術館

実際の家をアルルまで見に行ったら現存せず、後ろの建物もそんなに黄色くなかった遠い思い出…🏠

 

 

2000円、高いなあ〜まあでも色々いいの来るしなあ〜と思っていたけど、結果、満足でございました🥰(ちょろい

ちなみに本展、サイバーエージェントが特別協賛なんですね🦠 

 

 

 

ゴッホ展の混雑状況

混雑具合も、私が訪れた日(平日正午枠)は、恐れていたよりも少なくてホッとしました。

チケット予約枠が連日みるみる埋まっていくのを見ていて心配だったのです。

日時指定なのに、ぎゅうぎゅうに入れちゃうケースも過去あったからさあ…えー

でも平日でも混んでたという声も聞くし、日時によるかもしれないですね🤔

 

 

 

▼ゴッホ展のガイド動画。展覧会の舞台裏も紹介してて面白い🙂

 

 

 

ヒマワリヒマワリヒマワリ

 

 

 

さて、そんな大人気のゴッホさん。

私にとっても大切な心の住人のおひとり、例の如くブログには書きにくい万感系のお人だけど、少しでも記録したいと思います。

 

今回のゴッホ展では特に、素描や初期作品の魅力も改めて味わえました。

それから、同館が所蔵するゴッホ以外の作品も素敵なの色々でしたね〜目がハート

 

大好きなルドンどんも来てくれたので、今日はおふたりのことをぶつぶつとメモ。

 

 

ひまわりゴッホとルドンのまなざし

 

オディロン・ルドン《キュクロプス》1914頃 クレラー=ミュラー美術館

 

ヘレーネ・クレラー=ミュラーのゴッホ・コレクションの始まりは、画家を高く評価し、いち早く収集していた恩師ヘンク・ブレマーに感化されたことでありましたが、ルドン作品の収集にもまた師の影響があったとか。

突飛なルドン・ワールドに、最初は不快感すらおぼえたというへレーネは、しかし次第に関心を深め、のちに数十点のコレクションを持つことに。

 

 

ルドンの描くモンスターは、いつもどこか愛嬌があって、寂しげ。

ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人も、それまでに題材とされてきた凶暴さは鳴りを潜め、むしろ優しい眼差しで、届かない恋の相手を陰からそっと見つめる姿に描かれていますね。

こんな優しい目をしているのに、本当に恋敵アーキスを殺してしまうん?と思うくらい。でも実際、心にはそうやって色々な面があるものだよなあと思います。(そういえば、ゴッホの恋もちょっとポリュペーモスのようね…

 

 

 

ちなみに、ルドンが敬愛していたモローのキュクロプスも、愛しのガラテアをガン見してるけど…圧が強いねポーン

ギュスターヴ・モロー《ガラテア》1880 オルセー美術館 ※展示外

 

 

異形のものを多く描いたルドン、「醜いモデルばかり選んでいる」と言われたゴッホ。

でもどちらも、表層で美醜を切り分けるような奇異の目などでは無論なく、描く対象の内に向けられた深い眼差しと共感性が自分は好き。

 

 

《防水帽を被った漁師の顔》1883

 

 

《籠に腰掛けて嘆く女》1883 

 

嘆く姿は当時人気のあった題材で、ゴッホも好んで描いていたけど、彼のそれはやはりおつよい。

画家の道を歩み出して3年間を費やした素描の、特に人物画のエナジーは迫真的だ。

 

 

《刈り込んだ柳のある道》1881

 

その人物画と同じくらいおつよいのが「木」だけど、風景にも人間のような感情を込めて、擬人化を試みているというのだから、どうりで。

ゴッホの過剰なまでの感情移入というか投影というかの強さには、時にこちらまでヒリヒリとしてくる。

 

 

 

ひまわりゴッホとルドンの色彩

それからルドンとゴッホといえば、色彩の変化も特徴的。

ルドンもゴッホも、初期にはバルビゾン派ハーグ派に影響を受けて抑制された色使いであったのが、のちに独創的な色彩美が爆発しますね。

 

《キュクロプス》から。ルドンのオパールのような色彩、ほんと好き。

 

 

ルドンは、黒こそが精神性を表すと考えていた「黒の時代」であっても、木炭画を薄い茶や青、ピンクの紙に描いて色を意識しており、また初期ゴッホも、限られた色で描きながら、色彩に対する探究心を抱いていました。

 


フィンセント・ファン・ゴッホ《織機と織工》1884 クレラー=ミュラー美術館

 

青い織物や、窓から覗く黄色い葉などに補色を用い、暗い画面の中にも色彩の効果を試みている本作。

ドラクロワらの色彩理論を研究し、こうした職人や農民を描きながら色彩の実験を繰り返し、探求は形から色へ、やがて形も色も捉えた絵は動き出します。

みんな大好きドラクロワ、ルドンも大きな影響を受けていますね。

 

 

 

…ルドンとゴッホ、独自の画風を持った孤高の画家たち。

ルドンは幻想を、ゴッホは現実を描きながら*、ひときわ心の内を見つめ、その絵を見る者は(少なくとも私は)自身の内をも見つめることになってしまう。

それもまた「人は見たいように世界を見るもの」という掌の内ではあっても、彼らのそこに自分は惹かれ、救われてきた。し、書きにくい昇天

ちっともまとまらず、キリもないまま本日も以上となります。もいもいひまわり



 

 

 

ヒマワリおまけヒマワリ

 

伊東五津美《Sun room》

上野公園で展示中の藝大都知事賞作品から🌞

 

 

 


*ゴッホは見たまましか描けないことに悩んだこともあるというけど、逆にそれがすごいよね。見たままでアレは逆にできないんだが!🤯

[もいメモ]共通点と相違点、まったく異なりながら似通う点とその逆など:家族との関係、期待と挫折、自然との対話、他者評価への欲求、精神的指導者と支援者の存在、ゴーギャンとの交友(肘掛け椅子の上のひまわりにはルドンの目も)、北斎と浮世絵、故郷と黒の喪失/色彩の開花、日常の中の非日常性etc.

 

 

 

ゴッホ名画巡礼 [ 家庭画報特別編集 ]