こんにちは、もいもいです( ゚∀゚)ノモイ

 

大正モダーンズ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~@千代田区立日比谷図書文化館の覚え書きです。

 

 

プーシキン展と前後して某フォトコンの表彰式へ出かけた日(入賞ヤッター!、本展の看板を見かけて、飛び込み鑑賞しましたウキウキ

 

東京ステーションギャラリーで開催していた竹久夢二展「夢二繚乱」との連動企画。

マスメディアや印刷技術が発達し、様々な大衆文化が花開いた大正~昭和初期の商業デザインを紹介する、という展覧会です。

 

 

 

駆け足でしたが、ハイカラな図案をさまざま見られて楽しかったです。

革新された印刷技術を駆使し、新しい価値観や海外の流行も取り入れた大正デザインは、大衆化・簡易化の時代の風を受けながら、実験的・前衛的な表現に挑んでいました。

 

 

 

1. 杉浦非水と大正の商業図案

杉浦非水 「非水図按集」 1915(大正4)年

 

まずは、日本近代グラフィックの父・杉浦非水をはじめとする大正の図案が並ぶ。

 

「今日は帝劇、明日は三越」というキャッチコピーが残るように、庶民憧れのお出かけスポットだった三越。そのブランドを支えた一人が非水であった。

 

 

杉浦非水 「三越呉服店 春の新柄陳列会」ポスターデザイン 1914年 ※展示外

 

和装美人にアール・ヌーヴォーを取り入れた、日本デザイン史に残るモダンポスター。

それまでは絵画の転用に過ぎなかった日本のポスターに、革命を起こしたという。

 

 

日本画を志していた東京美術学校時代の非水は、西洋画家・黒田清輝の指導やミュシャ作品から受けた強い影響をもって、図案家へ転向。

日本で最初に商業美術という分野を切り拓いた。

 

 

 

2. 美術家たちの挑戦

 

 

また、橋口五葉岸田劉生藤島武二ら若い美術家たちもブックデザインを手がけ、絵画ではできない実験的で前衛的な表現を生み出す。

明治後半から大正にかけて、出版文化の興隆の時代が訪れていた。

 

 

 

 

3. カワイイの原点

竹久夢二 《涼しき装ひ》『三越』第十五巻六号より 1925(大正14)年

 

1900年、スウェーデンの思想家エレン・ケイの著書『児童の世紀』が刊行されると、世界的な反響を呼んだ。

同書は大正期日本でも紹介され、子供に固有の人権があるという考えや、女性の社会進出、婦人運動にも影響を与えている。

杉浦非水や竹久夢二は、この流れをいち早くデザインに繁栄させ、女性や子どもを多く描いた。

 

 

小林かいち 《二号街の女》 1925(大正14)~1926(大正15)年頃

 

絵はがきや絵封筒の図案を多く手がけたかいちは、抒情性あるアール・デコスタイルで「京都のアール・デコ」と称された。

 

 

 

4. 新時代のジャポニスム

小村雪岱 『春泥』 第七十八号 1937(昭和12年)

 

19世紀末、海外ではジャポニスムが流行。

明治末~大正にかけて日本でも浮世絵が美術として見直され、橋口五葉、小村雪岱、鏑木清方ら浮世絵スターも登場した。

 

 

 

5. ポップ・カルチャーの洗練

斎藤佳三 「モダン節」(ビクターハーモニカ楽譜№37) 1924(昭和4)年

 

WW1後の好景気、交通機関の発展、促進される都市化に、大衆の出現。

映画、演劇、舞踊、音楽など、都市を中心とする大衆文化も花開いた大正時代。

出版物やラジオなどマスメディアの発達により、それらの伝播も飛躍的に拡大した。

パンフレットやポスターデザインからも、その華やかさが伝わる。

 

 

 

6. 震災後の東京、モボ&モガの登場

杉浦非水 『東京』第二巻第三号 1925(大正14)年

 

明治と昭和に挟まれた15年の短い間に、経済の激しい浮き沈みや新時代への急激な変化を経験した大正期。

時代の後半に入ると、大戦後の恐慌や関東大震災に見舞われた。

 

 

作者不詳 『JAZZ ブロードウェー』 1930(昭和5)年

 

1932(大正12)年の震災により関西に移った文化は、復興に伴い東京に戻ってくる。

震災後の新しい東京には、「モボ(モダンボーイ)」「モガ(モダンガール)」と呼ばれる、西洋文化の影響を受けた尖端的なファッションスタイルの若者たちが登場。

大衆メディアや広告にも、モダンファッションのイラストレーションが溢れた。

 

 

資生堂マッチラベル (作者・制作年不詳)

 

生活必需品であったマッチ。

ラベルには様々な図案があしらわれ、広告媒体としても活用された。

資生堂のマッチには、今も変わらない花椿のロゴマークが見える。

 

 

 

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…などなど、時代を感じる魅力的なデザイン、今でもありそうなお洒落なデザイン、沢山楽しみましたニコニコ

実験的なアイデア、真新しい印刷技術やフォント、もう色々試してみたい!感じが溢れていたり。

ジャポニスムの逆輸入や、日本美術に刺激を受けたとされるアール・ヌーヴォー、アール・デコ、耽美主義といった西洋美術の影響も多々見られ、国をまたいでの響き合い、巡り合いが興味深かったり。

それから、こうしたビジュアルメディアには描かれていない面も含めて、歴史をもっとよく知っていきたいと思いました。

 

 

 

ではでは~もいもいメトロ銀座

 

 


【概要】大正モダーンズ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~

千代田区立図書館公式サイト・展示情報

 

会期:2018年6月8日(金)~8月7日(火)

会場:千代田区立日比谷図書文化館

 

【展示構成】

  1.  大正のデザイン ―杉浦非水と大正の商業図案
  2.  東京大正パブリケーション ―美術家たちの挑戦
  3.  子供ワールドと華と女性 ―カワイイの原点
  4.  新時代のジャポニスム ―小村雪岱と浮世絵イマジュリィの世界
  5.  ポップ・カルチャーの洗練 ―映画、演劇、舞踊、音楽のパンフレットデザイン
  6.  銀座・東京モダニズム ―大正のファッション&ライフスタイル

 

参考:

*美の巨人たち『杉浦非水「三越呉服店 春の新柄陳列会」』

*大正ロマン(wikipedia)


 
杉浦非水のデザイン [ 杉浦 非水 ]