カチンコ『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のあらすじ

天才並みの頭脳を持ちながら、幼児期のトラウマが原因で周囲に心を閉ざし非行に走る青年と、妻に先立たれ人生を見失った精神分析医との心の交流を描いた感動作。
本作で脚本家デビューを飾ったマット・デイモンとベン・アフレックが見事にアカデミー脚本賞を獲得したことで話題に。また、孤独な精神分析医を演じたロビン・ウィリアムズも助演男優賞を獲得している。監督は「ドラッグストア・カウボーイ」の鬼才ガス・バン・サント。
映画.comより)

 

 

こんにちは~もいもいです( ゚∀゚)ノモイ

 

本日は、映画de名画!

マット・デイモン主演のヒューマンドラマ『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)に出てくる名画です。

 

 

 

この映画には、アンリ・マティスの名画《ダンスⅠ》が登場します。

 

アンリ・マティス《ダンスⅠ》1909 ニューヨーク近代美術館

 

 

「色彩の魔術師」こと、アンリ・マティスによる名画。

20世紀最初の絵画革命・フォーヴィスムの中心的存在となった画家(ご本人はフォーヴと呼ばれるのを嫌ったそうですが)は、大胆でいて色と線と形の調和がとれた、独自の装飾的画面構成を確立させました。

 

本作《ダンスⅠ》は、ロシアのコレクターの依頼で制作された《ダンス》のための習作。

手を取り輪になって踊る裸体が単純化された色彩と線で描かれ、画家のキャリアそして近代絵画の発展の重要な作品となりました。

躍動する人の姿は、マティスのその他の作品にもしばしば登場します。

 

 

 

 

 

この名画が登場するのは、こちらのシーン下差し

 

 

 

 

 

ヒロインのハーバード女子、スカイラーが暮らす学生寮の部屋です。

主人公の天才DQNウィルは、冷やかしに出かけたハーバード学生御用達のバーで彼女と出会いました。

 

スクールカラーのクリムゾンに合わせたインテリアに、マティスのブルーも映えますね!

布団カバーの模様も、マティスの切り絵みたいでよく合います♪

イギリス出身のスカイラー、机の前のコルクボードにはユニオンジャックも見えますイギリス

 

 

この部屋で逢瀬を重ねていた二人。

やがてある晩、心の内に迫り激しく衝突するシーンは、何度見ても胸が詰まります(´;ω;`)

 

あなたは私に愛されなくなることを恐れている、私だって怖い、とスカイラー。

彼女を愛しているのに心の殻を破りきれないウィルは、核心を突かれて取り乱します。

 

大切なものが壊れてしまう前に、いっそ自ら壊そうとするウィルの深い孤独と、彼の感情の暴発を浴びながらも、I love you!と叫ぶのをやめないスカイラーの真っ直ぐな愛情のぶつかり合いが切なくて切なくて夏。・゚・(ノД`)・゚・。

 

 

 

 

日本語字幕ないけど、Movieclipsからそちらのシーン。

 

 

 

 

 

さてもうひとつ、ボストンを舞台にしたこの映画には、19世紀同地出身の画家ウィンスロー・ホーマーの名前も、重要なシーンに登場しています。

 

 

 

傷害事件を起こしたウィルは、仮釈放の条件のひとつとして心理学者ショーンのセラピーを受けることに。

そしてショーンの部屋に入るや、彼がペイントしたこの絵について「線描と印象派風味でゴチャついてる、おまけにホーマーのパクリで…」とボロクソ。(ちなみに実際に描いたのは監督ガス・ヴァン・サントご自身だとかw)

治療を受けたくないウィルは、ショーンからサジを投げるよう、わざと神経を逆撫でる言動を繰り返すのです。

 

 

ウィンスロー・ホーマー《メキシコ湾流》1899 メトロポリタン美術館

 

ウィンスロー・ホーマーは、身近な風景や生活を描いた19世紀米国の代表的な画家。

荒波とサメの群れに囲まれる小船の漁師を描いた代表作《メキシコ湾流》など、ドラマチックな海洋画も多く描いている。

ウィルはショーンの絵を、ボートを漕ぐ人物を黒人から白人に変えてみただけのジェネリックホーマーとけなした。(どちらかというと、《霧の警告》の方が似てる気がするけど)

 

 

ウィルの煽り芸にもなかなかのスルースキルを見せるショーンでしたが、最愛の亡き妻を侮辱する発言にはさすがにブチ切れ。

しかしサジは投げず、次の面会では「君は自分の言葉が分かってない子供だ」から始まる‎橋田壽賀子ドラマ並の長台詞で名言を連発します。

そちらを掲載して、本日はごきげんよう~(´∀`*)ノシ

 

 

 

 

ではでは~もいもい手

 

 

 

美術の話をすると 君は美術本の知識を

ミケランジェロのことにも詳しいだろう

彼の作品 政治野心 法王との確執 セックス面での好み

だかシスティーナ礼拝堂の匂いを?

あの美しい天井画を見上げたことが?ないだろう?

 

女の話をすれば君は好きなタイプを挙げる

女と寝たこともあるだろう

だが女の隣で目覚め真の幸せを感じたことが?

 

君は難しい子だ

戦争の話ならシェイクスピアを引用

“もう一度 突撃を 友よ”

だが本当の戦争を?

撃たれた親友を抱いて 息を引き取るのを見守る気持ち

 

愛の話をすれば 君は愛の詩を暗唱

だが自分をさらけ出した女を見たことは?

目ですべてを語っている女

君のために天から舞い降りた天使

君を地獄から救い出す

君も彼女の天使となって 彼女に永遠の愛を注ぐ

どんな時も…癌に倒れても

2か月もの間 病院で彼女の手を握り続ける

医者も面会規則のことなど口に出せない

 

自分への愛より強い愛で愛した誰かを失う

君はその悲しみと愛を知らない

 

今の君に知性と自信を持った男の姿が?

今の君は生意気な怯えた若者

だが天才だ それは認める

天分の深さは計り知れない

だが絵一枚で傲慢にも僕って人間を切り裂いた

 

君は孤児だろ?僕がこう言ったら?

“君の舐めた苦しみはよく分かる

「オリバー・ツイスト」を読んだから”

どういう気がする?

 

僕にとってはどうでもいいことだ

君から学ぶことは何もない 本に書いてある

君自身の話なら喜んで聞こう

君って人間に興味があるから

それはイヤなんだろ?

君はそれが怖い

後は君次第だ

 

―ショーン・マグワイア