空港に降り立った私は、雪を眺めている。
どうやら一人のようだった
とぼとぼ、タクシー乗り場に歩いて行けば
すれ違う人が二人いた。
最初にすれ違った一人は、とても背の高い女性で顔は分からない。
もう一人は、スーツを着た男性やはり顔は分からないようだ。
どちら共に無言ですれ違う。
私は、雪に足を滑らせ転んでしまう。
体半分に雪を、まぶしたまま立ち上がった。
タクシー乗り場は、まだ見えない。
歩きだした私の後ろから犬が追い越して行く。
犬は立ち止まり振りむいて私を見る。柴犬のようだ。
そうして追いついた私の、雪のついた足を嗅いだ。
それから犬と一緒に歩き始める。
私は、どうやってこの犬をタクシーに乗せようか悩んでいた。
タクシー乗り場に到着した時、やはり犬は乗せれないと拒否される。
仕方無いと諦め、一人タクシーに乗り込んだ。
何故だかタクシーには、すでに一人の女性が乗っている。
少し緊張した私は、軽く挨拶を交わした。
待っていてくれたのですか?そう聞いた私に彼女は軽く会釈を返す。
取りとめの無い話しを二人でしたが内容は、記憶していない。
それは記憶したくなかった事かも知れないし、ただ思いだせないだけかも知れない。
タクシーが止まった。駅のようだが数台のタクシーが停まっているのみで人の気配はしない。
彼女は先に降りてと、私を促した。
お金を払おうとした私の体を軽く押して、その必要は無いよと言う。
そうだ、私は財布を持っていない。その時始めて気付いた。
彼女はお金を払うと運転手と軽く会話し降りてきた。私は彼女を好きになった。
先に歩き出す彼女の背中を追いかけた。
その時、空港で別れたはずの、あの犬が前から歩いて来る。
そうか、これは夢だと気付く。
また犬と歩きだした、今度は犬と彼女と並んで歩く。
私は、無性に手を繋ぎたいと思うが、その勇気は持ち合わせない。
やがて広い公園が見えてくると、二人と一匹は立ち止まった。
ここが私たちの帰る場所と告げられる。
私は尋ねた、ここには愛が有りますか?
彼女は、黙ったまま私を見た。
聞いた事を後悔していた私に、犬が一つだけ吠えた。
そうか、愛は人間だけの物でも無いんだと思った。
では帰ろうか、やがて大きな愛に包まれる事を確信した私は犬を抱えた。
そうして彼女の手を引き、洋々とした気分で公園へと踏み込んだ。