先日実装された文アルのメインストーリーの一部が、盗作ではないかと騒がれているようです。
NEVERまとめ(https://togetter.com/li/1193411)によると、クロード・レヴィ=ストロース著、大橋保夫訳『野生の思考』の一部が、ゲーム中に無断で使われている、ということだそうで。詳しくはリンク先をご覧ください。
で、これ、99%クロなんですが、100%ではありません。
どういう理屈で99%クロなのか、なぜ1%のシロが残るのか。実在の文豪の著作に触れる機会も多いジャンルですし、この機会に学んでおきましょう。
基本情報として、著作者も翻訳者も死後50年経っていません。つまり原本も訳本も著作権が残っているということです。
そのため、どちらの文章も、勝手に使うと剽窃となります。
「引用ではないか」という声があるようですが、これは違います。
理由は簡単、引用元の記載がないから。
どこかにまとめて引用元書いとけばいいのになー、と思います。
次に「今まで文豪の著作からセリフを持って来てたのと同じでは?」というのも聞きますが、これも考え辛いです。
原作者も翻訳者も、文アルに実装されている文豪と関わりが無さそうなので、そんなところから引っ張って来る理由がありません。
ましてやセリフの発言者はゲームオリジナルキャラなのでちょっと苦しいです。
「著作権侵害は親告罪」というのは正しいですが、ちょっと論点が違いますね。
今は「人を殴るのは犯罪かどうか」ではなく「人を殴る奴は倫理的にヤバい」という話をしているわけですから。
ここまで擁護の声を徹底的に潰してみました。
ここからは、1%のシロを残すための弁護の時間です。
まず、著作権にはいくつもの権利がセットで含まれています。
コピーの権利である複製権、公開の権利である上演権や上映権、テレビやネットで拡散する権利である公衆送信権などがあり、これらは全て著作者の死後50年間保持されます。
しかしごく一部例外があります。翻訳の権利である翻訳権の「10年留保」と呼ばれるものがそれです。
これは「1970年以前に出版された本は、出版後10年にわたって翻訳が出なかった場合、翻訳権が消失する」というものです。
『野生の思考』の原本の出版が1962年、大橋訳の訳本の出版が1976年。「10年留保」が適応されている可能性が高いです。
つまり、文アルのライターが『野生の思考』の原本を読み、自分なりに翻訳したのであれば、著作権法違反にはならない、と言えるわけです。これが1%のシロです。
ええ、わかってます。相当苦しい言い訳です。
該当部分は平易でない言い回しが使われていますから、ここが偶然に完全一致するとは考えにくいです。
真剣に弁護するつもりは毛頭ありませんし、こんな適当な仕事する人はうっちゃって、私を校正校閲担当として雇ってくれないかな、と本気で思ってます。(転職活動中)
まあ、やった本人はパクリというより引用やオマージュという感覚でやったんでしょうけれど、正しい手順を踏まないとこういうこともあるという話ですね。