バナナとスパイ | 『昭和23年に生まれて』のブログ

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堺屋太一の名づけた『団塊の世代』のど真ん中、昭和23年生まれ。
自分の人生を振り返りながら、気の向くままの思い出話。

ベトナムは1975年の統一まで南北に国が割れたままだった。

共産主義に軸足を置く北ベトナム、資本主義に軸足をおく南ベトナム。

同じ民族が当時の世界の覇者であるソ連と米国を後ろ盾に闘っていたわけだ。

最後は、共産主義でも資本主義でもなく、民族主義が勝利したのかな。

やはり、イデオロギーより民族という共通性が統一する時のキーなんだろうか。

南北に分かれていた当時、北には南のスパイが、南には北のスパイがそれぞれ活動していたそうだ。

確かに同じ民族だし、同じ言葉をしゃべるから政府や軍部の中核に潜入するにはそんなに困難がないかと思ったが、実は南北ではベトナム語が微妙に違うそうだ。

そういうのを克服できないようでは、スパイにはなれないだろうが。

しかし、北のスパイとして南政府の中枢に深く、また長年にわたり潜入していたスパイが逮捕された。

逮捕の発端は「バナナ」だったそうだ。

ベトナムはどこに行っても「バナナ」を目にする国だが、何で「バナナ」でスパイがばれたのか?

習慣というものの恐ろしさだった。

そこには、同じ国でも地域の違いからくる「習慣」がある。

それも人間の本性みたいなもので、「三つ子の魂百まで」なのだ。

中国もそうだがベトナムでも、食事の席ではお客さんや目上の人に料理を取って差し上げるということが多い。

また、食事の最後にデザートとして果物も良く出る。

さらに、飲酒は当たり前だ。

問題のスパイも食事の最後のデザートで出た「バナナ」が命取りとなった。

ベトナムでも南部の方はバナナが豊富に取れる。

北のほうは、気候の性もあってやや収穫量が少ないそうだ。

従って、南部では相手に渡す場合一本ごと渡す。

ところが、北の場合は一本のバナナを半分にし、相手に差し出すらしい。

北のスパイは、とんでもないミスをやってしまったのだ。

そう、手に取ったバナナを半分にしてしまった。

酒が入っていたこともあったのだろうか、それとも長い間相手を騙してきたという安心感、自信が彼に思わずそうさせてしまったのかも知れない。