ドラッグロス | 杉本 龍一のブログ I am a 古民家鑑定士

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古民家を壊してしまうこと無く、修繕、再築しながら、未来のこどもたちに残して行ける、持続可能な循環型建築社会の創造を目指しています。

そのような活動を、建築士の立場から紹介していきます。

かつては治療が難しかった希少がんや難病の新薬が、先端バイオ技術を使って米欧で相次いで開発されています。

しかし、海外メーカーはそうした薬を日本市場になかなか投入せず、患者が優れた薬の使用機会を失う「ドラッグロス」が起きています。


何故この様な現象が起こるのでしょうか?

まず、最先端の医薬品が日本に入ってきません。

今、医学・生命科学の進展を受け「創薬革命」が起きています。遺伝子の働きに注目し、特殊な抗体などを使ってがんを抑える治療薬や、新型コロナウイルスのワクチン開発で有名になったRNA技術を応用した薬、細胞・遺伝子治療薬などが続々登場しています。

これらの研究開発費は時に数千億円に及びます。特定のがんや難病など患者数が限られるものも多く、元をとりにくい。欧米企業は症状改善によって患者や家族が生涯に受ける恩恵なども考慮すれば、高額もやむなしとの立場です。


ところが、日本の薬価は原価積み上げを基本に厚生労働省の中央社会保険医療協議会で決めますが、国民皆保険制度でカバーするのが前提で、海外より安くなるのが一般的。半額以下の場合もある様です。

このため欧米企業にとって日本市場の魅力は薄れ、日本向けの新薬開発をためらうようになりました。


日本企業は米欧の製品に伍する優れた新薬を次々には出せません。化学合成を主体とする従来品からバイオ医薬品への転換が遅れ、新薬の開発力で米欧勢に劣るためです。



世界の売り上げ上位に食い込める製品は減っていますが、大学などには新薬の「芽」となる優れた研究もあります。これらをうまく発掘して育て、創薬力を高める取り組みが急務だと思います。

長寿国日本、創薬革命に取り残されないよう技術者に頑張ってほしいです。