お笑いコンビ「かまいたち」のネタでこんなのが有ります。

 

人生で一回だけ過去に戻れるとしたらいつに戻りたいか、という振りでボケの山内氏が「コンビニでポイントカード作る」と言うのです。どういうことか・・・コンビニで最初ポイントカード作りますか?と聞かれたときに何気に断ってしまった。それ以降、コンビニで「ポイントカード作りますか」と聞かれる度に、ここで作ったら過去にもらえなかったポイントが損失になる、と考えて頑なに断ってきたというのです。だから過去に戻れるなら最初に聞かれた日に戻りたい、というのです(そもそも人生で一回だけなのにそれかい!ってのも笑いのツボなんですが)。当然、相方の濱家氏は「それおかしいやろ。今からでも作ればこの先は得になるんやから」と突っ込みますが山内氏は聞く耳を持たない。「いや今作ったら、それが損の起点になる。それより前にもらえなかった分が損になる」という理屈。勿論、濱家氏の方が合理的で「正論」と言えるのですが、あながち山内氏を笑える話でもないな、と私は思います。このポイントカードの話は極端ですが結構多くの人が似たようなバイアス(思い込み、思考の傾向)を持っていると思います。

経済用語で「サンクコスト」ってのがあります。埋没費用とも言いますが、回収不能な投資、コストのことです。でもこれに縛られて判断を間違うことが結構多い。「せっかくここまでやってきたんだから」「勿体ないから」「今までの努力なんだったの?」という言葉で損切り、仕切り直しが出来ない。金の貸し借りでも似たようなことが起きます。貸した相手が前の返済も滞っているのに追加で無心してきた。合理的に考えると、こんな相手は債務不履行に陥るリスクが非常に高い。でもここで断ると前に貸した分も回収不能になるかも知れない、という恐怖から追い貸しをしてしまう、という事例。いわゆる「盗人に追銭」となってしまうパターンになりがちです。

過去に縛られるって言いますけど、無意識のうちにそうなっている。人のことは笑えますが自分のことは見えていない。私もそうかもな。