先日のAU通信障害の件で現代における固定電話の考察を書いてみましたが、今回はその2弾

携帯が主流になった今でも企業では固定電話を重用してます。例えば発信元番号が携帯ではなく固定だと受け手はそれとなく安心します。つまり信用ってことですか。昔、友人に当社の仕事を手伝ってもらったとき、彼は電話を掛けるだけなのに、わざわざ事務所に出向いてきました。その時は「電話くらい自分のところから掛けりゃいいのに」と思ったりしましたが、後で考えると理のある行為だったわけです。もっとも最近は大手の会社でも営業マンが自分の携帯から掛けてくるようになりました。受け手としても着信時に出られず、折り返し掛ける際、固定だと「折り返しのお電話ありがとうございます。ところで弊社のどの者からだったでしょうか」「知らんがな、着信履歴で掛けてんだから」という展開になりがちですが携帯なら相手にピンポイントで掛かります。

また固定電話では電話番号を重視していました。いわゆる語呂合わせで企業イメージに合う番号を取得するため、番号の売買まであったくらいです。売買と言ったら加入権自体が売買の対象でした。今のような携帯ショップではなく、多くは街の不動産屋さんとか金融屋さんが副業的に扱ってたのです。また平成の初期は電話代行が多く誕生しました。つまり自前の電話番を置く余裕のない中小企業が転送電話を使って代行業者に電話番してもらうという商売。現在のコールセンターとかは当時のこれが生き残って大きくなったというのも少なくありません。当時、知り合いでK社長という方がいらっしゃいました。K社長、本業は中野区でペットショップをやっていたのですが色んな副業に手を出すのが大好きで、本業は奥様に任せ自分はペットショップの2階にある事務所で副業に精を出しておりました。類は友を呼ぶというか、その事務所には何が本業かわからない怪しげな(失礼!)仲間が入れ代わり立ち代わり出入りしてました。で、ある時K社長、事務所に何本か電話回線を引きました。おそらく出入りしているだれかが持ち掛けたのでしょう、電話代行を始めたのです。普通は女性のオペレーターとか雇うのでしょうけど、なんとK社長自らオペレーターしちゃいます。で、料金別にいくつかのコースを設定するのですが、その中に「もしもしコース」というのがありました。通常、電話代行は1クライアント(1会社)ごとに専用回線を引いて、その電話に掛かってきたときは、そのクライアントの社名で受電します。で「もしもしコース」は他のコースに比べ、月額がかなり安い。どういうことかというと専用回線は使わず、一つの回線を複数のクライアント(会社)で共有するコースなんです。だから、その回線に電話が掛かっても、どのクライアント宛かわからない。「はい、○○社です」と言えないので、とりあえず「もしもし」と言うしかない。それが「もしもしコース」

 

さて、K社長の電話代行、1年持ちませんでした。お客さん(クライアント)は結構ついたんですが・・・・

何故かって?

クライアントの大半、それに、そこに電話してくる人たち、K社長の知り合いばかり。そしてオペレーターはK社長自身。

「このあいだA社に電話したらさ、Kさんが出るわけよ。Kさんには関係ないのにいろんなこと聞いてくるのよ」なんて評判があっという間に広まりました。当時はコンプラとかいう言葉はありませんでしたが、さすがにこれじゃあねえ・・・・

K社長、鬼籍に入られて20数年、面白い人だったなあ。