新シリーズを考えました。以前やった倒産・夜逃げシリーズとは趣を異にしますが、倒産とかの深刻な事態にならない程度でこけちゃった商売、計画途中で頓挫した事業等を取り上げていきます。第一弾は「宅急便に挑戦した男」です。


宅急便に挑戦した男

このテーマタイトル見ると、クロネコヤマトの小倉さんを想像される方もいらっしゃると思いますが、あの方は「宅急便を創った男」です。今回は、その宅急便に対抗して、新たな宅配便をやろうとした人の話です。


名前をH氏としておきましょう。いろんな商売をやっていたんですが、ある時東京K区で事務所を出しました。その事務所は1階路面で店舗的な用途にも利用できたので、宅急便の取次ぎも始めました。たまたま軽トラックも持っていたので、ある時出入りの宅急便ドライバーから「この地域の配送担当してくれないか」と声が掛かりました。今はヤマトはすべて自社配送ですが、当事は個人運送店や米屋、酒屋などに下請け的に地域の配送を依頼していたのです。その仕事を請け負うようになったH氏ある時思いつきました。「地域限定の宅配便作れないか」と。そこで始めたのが、23区限定の「P宅配便」。宅配便といえば、クロネコとかペリカンとかカンガルーとか動物キャラを皆使ってましたから、H氏も考えました。それがなんと・・・・「ハイエナ」です。「ハイエナマークのP宅配便」・・・今考えるとなんとも怪しげな宅配便です。でもプロのデザイナーにロゴを頼んだりしたので、結構かわいいキャラでした。

考え出したコンセプトやサービスも当事としては画期的でした。

1、配送時間帯指定。

今はどこの宅配便もやってますが、当時はP宅配便だけ。実はこのサービスが生まれた背景があるのです。宅急便の下請けをやってる時、一番のネックは不在のお宅が多く、再配達が効率を下げているという問題でした。そこで、在宅時間をあらかじめ知っておけば配達が一発で完了すると考えたのです。今は時間帯指定というのは普通になっていますが、このサービスは一見お客様のためのサービスに見えるけど、本音の部分は配達効率を上げるために生まれたと私は見ています。

2、当日着

今は近場であれば当日着は珍しくないですが、当事はどんな近場でも翌日着が普通でした。P宅配便は23区内に絞ることによって、それが可能と読んだのです。実はこれにも、ある背景があります。時効だから書いちゃいますけど、クロネコの取次ぎ受付をしている中で、時として非常に近場宛の荷物が少なからずあるのです。中には自転車で5分くらいの先もありました。そういった荷物をH氏はなんとクロネコには渡さずに自分で届けに行っちゃったのです。届け先のお客様からは「あら、明日届くって聞いてたけど早いのね」なんて驚かれたりして、H氏はちょっと得意になってました。

それと「当日着」の背景はもう一つあるのです。小さい会社だから、大きな倉庫がありません。だから、在庫を早く回転させる必要があったのです。


これらは今でこそ普通になってるサービスですが、H氏は当事既に考えていたのです。いずれも、クロネコの仕事をやりながらヒントを得た訳です。そして、何よりもH氏が目をつけたのは宅急便は北海道から沖縄まで全国宛の荷物を受けるけど、結局のところ23区内宛が一番多い、という点です。そしてそれらが関東甲信越という括りで、新潟宛や長野宛と同じ運賃で(当事)扱われているという点でした。

そこで「23区に限定した安くて早い宅配便」というコンセプトでP宅配便は誕生しました。さあ、この後の顛末は?続きは次回


注)「宅急便」はヤマト運輸の登録商標でヤマトの宅配便は「宅急便」、それ以外は「宅配便」と表記しました。