中小零細企業は福利制度もなかなか整備されていないところも多いです。いわゆる「法定福利」(=義務としての福利)も含めてです。社会保険どころか労災も入ってない、なんてのもよくあります。一方、こういった中小零細企業を主な顧客にしている労働保険事務組合というのがあります。私の知り合いのN株式会社にも勧誘があったらしいいです。営業に来たのは組合の職員とかではなく、組合から委託されている社労士さんです。高齢なのに熱心に何度も営業に来られたということで、いわゆる第一線を退いたのか、或いはこの歳になっても仕事を続けなければならない事情があるのか、いずれにしても仕事はそんなには抱えておられない方のようです。
さて私も中小零細企業とたくさん付き合ってきました。見なくても良いところまで色々見てしまうんですが、労働保険も例にもれません。まず、労働保険に入ってない会社。「事故が起きてからでも入れるぞ」って開き直っています。ペナルティは百も承知ですが「(事故が)なければ儲けもんだし、実際開業以来何もない」と言ってます。あと労働保険は入ることは入っているんだけど、申告に問題がある会社。従業員の人数や賃金が「実際と違うじゃねえか」って事例です。さて、そこで先の社労士さん。
N株式会社が「高くて入れない」と言ったら「じゃ、取り合えず会社は二人ってことで入るのはどうでしょ?」と、のたまったそうです。本当は10人近くいる会社ですよ。普通言うか、そんなこと。本来ならクライアント側がそんなこと言った時にたしなめる立場でしょうが。それを自ら平然と提案するとは・・・。いわゆる年の功、海千山千と言うべきか、仕事がなくて破れかぶれなんだと言うべきなのか。でも個人的には、こういう人嫌いじゃありません。
編集後記
税理士なんかもそうですが、クライアント側で策を弄し、いろんな案を出しても却下されることが多いです。非合法なものは勿論ですが、グレーなものも然りです。そりゃそうですよ、危ない橋は渡りたくないもん。大した報酬を払ってくれるわけでもないクライアントと心中するわけには行かないんです。大体面倒くさいだけだし。できることは「聞かなかった」ことにしてくれる程度です。