今は昔、安倍晴明は幼き頃より、賀茂忠行という陰陽術の大家のもとで、夜も昼も熱心に学びました。
その結果、少しも心ないところはありませんでした。
ところで、清明がまだ若かった時、師の忠行が夜間、下京のあたりに外出をした際に供をしました。
晴明は徒歩で師の牛車の後に従っていましたが、忠行は牛車の中で熟睡していました。
ふと、清明が牛車の前方を見ますと、何とも怖ろしい形相をした鬼たちが、こちらへ向かって歩いてくるではありませんか。
驚いた晴明は牛車の後ろに走り寄り、師を起こして事態を報告しました。
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