
南太平洋のトンガ付近で発生した大規模な噴火の影響で、トンガとの通信が困難となる中、オーストラリアとニュージーランドは、現地の被害を把握するため、17日に軍の哨戒機を派遣しました。
南太平洋のトンガの首都、ヌクアロファから北に65キロほど離れた場所にある海底火山で15日に発生した大規模な噴火では、トンガで最大およそ80センチ、バヌアツなどで1メートルを超える津波が観測されたのをはじめ、アメリカ西海岸や日本の太平洋沿岸などにも津波が到達しました。
津波に対する警戒や注意の呼びかけは16日までに解除されましたが、トンガのほとんどの地域では電話やインターネットなどの通信が困難な状態が続いていて、詳しい被害状況はわかっていません。
このため、オーストラリアとニュージーランドは、現地の道路や港など、インフラの被害状況を把握するため、17日朝、軍の哨戒機を現地に向けて派遣しました。
また、オーストラリアのセセルジャ太平洋担当相は17日朝、公共放送ABCに対して「現時点では死傷者が多く出ているという情報はないが、国全体の被害の情報はまだ限定的だ」との見方を示し、近く、軍用機で支援物資を送る方針を明らかにしました。
現地の海底ケーブルを運用する企業の担当者は、メディアに対し、通信環境の復旧には最大2週間かかるとの見方を示していて、被害の全容の把握には、まだ時間がかかると見られています。
松野官房長官は、臨時閣議のあとの記者会見で「トンガ国内では首都を中心に建物の浸水被害のほか、停電や通信障害が発生している。現地からの報告によれば、現在までに在外邦人の生命、身体に被害が及んでいるという情報には接していない」と述べました。
そのうえで「政府として、引き続き関係国と緊密に連携しながら、現地の状況の正確な把握に努め、在留邦人の保護に万全を期していく。支援などについてトンガ政府や関係国と緊密にやりとりをしており、いかなる支援ができるか検討したうえで適切に対応する」と述べました。
一方、気象庁が、一時「被害の心配は無い」としたものの、その後、津波警報や注意報を広い範囲に発表したことについて「どのような対応が可能であったかについては、気象庁で潮位の変化のメカニズムなどについて分析が行われたあと、今後の適切な情報提供の在り方についても検討が行われる」と述べました。

噴火が起きたトンガの火山島からおよそ8500キロ離れたアメリカ西部・カリフォルニア州の港で、15日、上空からドローンで撮影された動画には、沖合から港内に海水が流れ込んでくる様子が捉えられています。
さらに、港の出口付近にあった船などが、港の奥のほうへ押し流されて行く状況も確認できます。
映像の撮影者はロイター通信の取材に対し「船を押し流していく津波は、2011年に日本で起きた地震のあとにアメリカに押し寄せた津波と似ているように見えた」と話しています。
アメリカ国立気象局によりますとトンガでの噴火のあと、カリフォルニア州では最大で1メートルを超える津波が観測されたということです。

ペルーの警察当局によりますと、北部ランバイエケの海水浴場で15日、南太平洋のトンガ付近で起きた大規模な噴火の影響とみられる高波に40代と20代の女性2人がさらわれ、その後、死亡が確認されました。
亡くなった女性2人は家族とともに海水浴に来ていたということです。
当時、ペルーでは、津波警報は発令されていませんでしたが、ペルー海軍が予防的な措置として港や海水浴場を閉鎖するよう呼びかけていました。
南米ではチリやエクアドルの当局が津波警報を出して警戒を呼びかけていましたが、現地時間の16日未明までにすべて解除されています。

15日に噴火した南太平洋のトンガ付近の海底火山について、EU=ヨーロッパ連合は噴火の前後に撮影したものだとする衛星画像をツイッターで公開しました。
今月3日の画像には鮮明に見えていた火山島が、15日の噴火後には見えなくなっています。
ツイッターでは噴火は「破壊的」なもので「火山島はほとんど完全になくなった」としています。

オリンピックの開会式にトンガ代表の旗手として上半身裸の民族衣装を身にまとい行進し、話題を呼んだピタ・タウファトファ選手は、SNSを通じ母国トンガへの支援を呼びかけています。
タウファトファ選手はテコンドーで2016年夏のリオデジャネイロ大会と去年夏の東京大会、それにスキークロスカントリーで2018年冬のピョンチャン大会に出場し、ピョンチャン大会と東京大会の開会式では旗手として上半身裸の民族衣装を身にまとい行進した姿が話題を呼びました。
タウファトファ選手はオーストラリアに滞在していますが、トンガ付近で発生した大規模な噴火を受けて、16日SNSに投稿し、トンガにいる父親など現地の家族と連絡が取れていないことを明らかにしました。
そのうえでタウファトファ選手はトンガへの寄付金を募るクラウドファンディングを立ち上げ「今の私にできることは人々に関心を高めてもらい支援を行うことだ。私は復興のために助けを必要としているトンガの人たちのために力を尽くします」と投稿し、多くの人に母国トンガへの支援を呼びかけています。