富山県砺波市にあるパナソニックの工場に勤めていた男性が、おととし自殺したことについて、会社は、男性が自宅に持ち帰っていた仕事を残業と認め、長時間労働でうつ病を発症して自殺に至ったとして、遺族に謝罪し和解しました。

おととし自宅で自殺したのは、砺波市にあるパナソニックの電子部品工場に勤めていた当時43歳の課長代理の男性で、遺族の代理人などによりますと、自殺の半年ほど前に昇格したことで業務量が増え、自宅にパソコンなどを持ち帰って長時間仕事をしていたということです。

労災を認定した砺波労働基準監督署では、自宅での仕事を残業と認めませんでしたが、パナソニックは、パソコンの起動時間などを独自に調査した結果、残業と認めたうえで、長時間労働でうつ病を発症して自殺に至ったとして、遺族に謝罪し、解決金を支払うことで6日、和解したということです。

男性の妻は、7日、富山市で会見を開き「会社全体の仕組みや、職場の雰囲気などを変えないと再発防止にはつながらない」と訴え、代理人の松丸正弁護士は「持ち帰り残業もきちんと認め、責任を認めて謝罪した点は評価できる。労働時間をきちんと把握すれば、こうした悲劇は防げるはずだ」と指摘しました。

一方、パナソニックは「安全配慮義務を怠った結果、社員が亡くなるという痛ましい事案が発生しました。再発防止に向けた取り組みを徹底して推進します」とコメントしています。

パナソニック 再発防止に向けた取り組み公表

富山県の工場に勤めていた男性が自殺したことについて、パナソニックは、再発防止に向けた取り組みをホームページで公表しました。

この中で、「亡くなられた社員に謹んで哀悼の意を表すると共にご遺族の皆様に衷心よりお詫び申し上げます。決して償いきれるものではありませんが、原因を明確にし、再発防止に向けた取り組みを徹底して推進してまいります」としています。

そのうえで、再発防止に向けて「責任者や上司がみずからの役割を再確認し、コミュニケーション能力を高めるための教育を定期的に実施」するほか、「毎年行う多面的な評価などで適性に課題がある場合には役割を見直す」としています。

また今回の事案が発生する前には、「持ち帰り残業」など会社の施設の外での労働時間を客観的に把握する仕組みがなかったとして、「パソコンの稼働時間を勤務を管理するシステムに反映させる仕組みを今年度から導入している」としています。