今回の大雨では、自治体からの避難情報やニュースなどで「危険な場所から避難」という言葉を聞く機会が増えていると思います。それでは「危険な場所」とは、具体的にどういう場所なのでしょうか?。

氾濫リスクのある場所は

大雨で大きな被害を出すおそれがあるのが「川の氾濫」です。

主に川の近くや、周囲よりも低いいわゆる「低地」は要注意です。

具体的には川の堤防のすぐ近くや「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定されている地域は、川が氾濫した時には家ごと流されて助からない可能性があります。

2018年の「西日本豪雨」で堤防の決壊が相次いだ岡山県真備町では、小田川沿いの地域で最大で5メートル以上の浸水が発生し、51人が亡くなるなど大きな被害が出ました。

また去年7月に熊本県を流れる球磨川で発生した水害では「家屋倒壊等氾濫想定区域」の中にあった住宅が流されて少なくとも5人が死亡しています。

いずれの地域も自治体などが公表している「ハザードマップ」で事前にリスクが想定されていた範囲とほぼ重なっていました。

自宅のリスクをあらかじめ確認し「危険な場所」にあるかどうか、把握することが重要です。

リスク地帯以外でも「低地」は注意

また、浸水のリスクが想定された場所以外でも、周囲よりも標高が低く、水がたまりやすい「低地」もリスクが高い場所です。

2019年の台風19号では浸水が想定されていた場所以外でも「低地」で多くの人がなくなりました。

川にある堤防や橋と自宅の位置関係を確認してみてください。

同じような高さにある場合には浸水のおそれがあります。

川の「合流部」も注意!

さらに、川と川が合流する「合流部」も水が集まりやすく、注意が必要です。

特に本流と、そこに注ぎ込む支流の「合流部」の場合、本流が増水すると支流の水が排出できなくなり、水位が上がる「バックウォーター現象」が起きて氾濫することがあります。

「合流部」では、ひとたび氾濫が起きると水の逃げ場がなく、急激に水位が上昇する場所が多いため、近くに住んでいる人は十分な注意が必要です。

「土砂災害警戒区域」は危険

土石流や地すべりなど、土砂災害が想定される場所も大きな被害が出るおそれがある「危険な場所」です。

避難などの対応が必要な場所は都道府県が「土砂災害警戒区域」に指定しています。

今回の雨でも、長崎県雲仙市や長野県岡谷市などで土砂災害が発生し、犠牲者が出ていますが、いずれの現場も「土砂災害警戒区域」に指定されていました。

このほか、土砂災害の危険性がある場所は、都道府県が「土石流危険渓流」「地すべり危険箇所」「急傾斜地崩壊危険箇所」として示しています。

土砂災害は発生してからの避難は極めて困難です。

住んでいる場所のリスクを事前に把握し、災害が差し迫る前に安全な場所に避難するなど早めの安全確保が重要です。

「ハザードマップ」でリスクの確認を

自宅が「危険な場所」にあるかどうかは、自治体などが配布している「ハザードマップ」で確認することができます。

ただ、ハザードマップでリスクが表示されていない場所でも災害が起きるおそれがあります。

自分の住んでいる地域が「川の近く」「周囲より低い土地」「崖や斜面、渓流の近く」にある場合などは、災害のリスクがあると考えて早めの避難を検討してください。